FLYING

〈全日本・紀文豆乳飲料シリーズ「麦芽コーヒー」の500ミリリットルパックを扱う小売店が少ないことに遺憾の意を表明する会〉活動記録

楠田亜衣奈さんソロデビュー2周年に寄せて

はじめに

先日、いつものようにTwitterを観測していたところ、 声優オタクは演者のパーソナリティーありきで楽曲やトークを聞いてエモくなるからキモい みたいなツイートが流れてくることがあり、個人的に納得する部分がめっちゃありました。

このツイートにある通りで、キモ=オタクって純粋に楽曲だけでエモくなるわけじゃないんですよね。 そこに至るまでのコンテキストとか、それを歌っている人自身の言葉とか姿勢とか、そういうものを全部ひっくるめてエモくなったり好きになったりする。

じゃあ逆に、コンテキストなしでエモくなるのってどういう場面でしょうか?

アニクラでそれまで何も知らなかった曲をいきなり聞いてエモくなったら、それは純粋に楽曲の力でエモくなったって言えるのかもしれないですよね。 でも、そういう曲だってその後色々コンテキストを踏まえていったら、たぶんもっとエモくなるわけじゃないですか。 例に挙げるなら、僕にとっては 僕らは今のなかで はそういうタイプの楽曲だったんですよね。

アニクラで何回か流れてくる中で純粋にいい曲だなって思ったのが最初だったんですが、知り合いに薦められてアニメを見て、気づいたらラブライブ!自体にどっぷりハマっていて、最終的に自分の中でめちゃくちゃコンテキストの詰まった1曲になっていきました。

そもそも、アニソンとかキャラソンみたいなものって、 コンテキストを共有することで生まれる楽しさを前提に作られているんじゃないか と思ったりもします。 アニメとかを見ていて、1話ではまったくピンと来なかった主題歌が話数を経るにつれて自分の中でだんだん特別な曲になっていって、気づいたら大好きになっていたような経験、これを読んでいる皆さんにはありませんか?

同じようなことがアーティストの楽曲でも起こることがあります。

声優さんがソロデビューして、色々シングルやらアルバムやらを出して、数年後に憧れのホールの舞台とかにそのアーティストさんが立つようになったとしましょう。 そこで歌われたのがソロデビュー発表当時に歌われたいちばん初めの楽曲だったら、デビュー当初からちょくちょくイベントに参加していたオタクからしたらめっちゃエモいじゃないですか。

なんでこういう序文を書いているかというと、これから 楠田亜衣奈さんという声優アーティストさんの話をしようとしている からなんですね。

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楠田亜衣奈さんの2ndライブツアーの最終公演が8月10日にあったんですが、その会場が本人やファンにとっては悲願とも言える、中野サンプラザという過去最大規模のコンサートホールでした。 詳細はウェブに上がっている 各媒体のレポート をご覧いただくのがベストかと思いますが、これまでに出た全楽曲を全部歌い切るというライブ内容で。 そのセットリストの1曲目が、先述したようにソロデビュー発表当時に初披露された楽曲、 トドケ ミライ! という曲のアコースティックアレンジだったんですね。

端的に言って、 コンテキストで楽曲を聞いているようなキモ=オタクたちを全員殺すぞ という気概が感じられて大変よかったです。

わたしは無事死にましたが、参加された皆さんはどうでしたか?

楠田さんが2015年の10月にソロデビューされてから、1stミニアルバム「First Sweet Wave」、2ndアルバム「Next Brilliant Wave」、3rdアルバム「カレンダーのコイビト」と3枚のアルバムがリリースされました。 この3枚のアルバムをめぐる詳細なタイムラインについては 先日書いたクソ長い記事 を参照してもらえたらと思います。

アルバム3部作と今回のライブツアーで、ソロプロジェクトとしてのひとつの区切りが付いたんじゃないか、というのは自分の中でずっと考え続けていたことでした。

特に、3rdアルバムの表題曲 カレンダーのコイビト は、ある意味 "究極のやつ出ちゃったな" という感覚が個人的にありました。 究極のやつが出ちゃったせいで、正直言うと、2018年春に出ると言われている1stシングルの内容がまったくもって予想できていません。

そういった個人的な事情もあり、2ndライブツアーが無事大団円を迎え、演者もファンも一息付いているこのタイミングで、楠田さんのアルバム3部作についてまとめておきたいと思い、 Anniversary の日に記事を書くことにしました。

メインストーリーのこと

1stアルバムの表題曲 First Sweet Wave という曲は、 デビューのドキドキを恋愛に置換えて描かれた曲 だと当初から雑誌等のインタビューで言及されており、また、2ndアルバムの収録曲 Infinite MemoriesFirst Sweet Waveの歌詞の延長線上にある ということが同様にインタビューなどで語られていました。

この2曲に関しては、作詞・作曲・編曲に関しても完全に同じチーム(こだまさおりさん・山田貴弘さん・鈴木daichi秀行さん)で制作されているという共通項も存在しますね。

曲の歌詞に着目してみると、これから2人の関係性を始めるために一歩踏み出す内容の First Sweet Wave に対し、 Infinite Memories では "アルバムをめくっていく" という形でこれまでの2人の思い出を振り返る様子が描かれていました。

コタエあわせは あとまわしなの
キミへ踏み出せ! Sweet Step

First Sweet Wave

めくる めくる キミのアルバム 何ページ目から
いつも いつも となりに写る わたしがいる?

Infinite Memories

ソロデビューからの活動という文脈で歌詞を読み解くならば、1stミニアルバムが発売され楽曲がCDという形で広がっていく様子を 甘い波 にたとえていたり、楠田さんのアルバムCDが増えたことをフォトアルバムにたとえていたりとなかなかお洒落な歌詞の構成になっています。

一方で、ソロデビュー云々のコンテキストを一旦無かったことにしてこれらの歌詞を読み解こうとするならば、 First Sweet Wave で出会った恋人同士の関係性がだんだんと深まり、 Infinite Memories ではフォトアルバムを見ながら過去を振り返る様子が描かれている、という風に解釈できるでしょう。

この観点で2曲を対比してみると、そこにはざっくり言って 2つの要素: 時間の経過関係性の深化 があるように思います。 また、どちらの曲にも過去や現在だけでなく、 未来に言及している という共通点もあります。

明日変わりそうな 毎日で待ってて

First Sweet Wave

絶対最強の愛になる! はてしない未来ごと 約束しようね
...
共有できる毎日のなかで 待ち合わせしよう これからも

Infinite Memories

First Sweet Wave の歌詞で表現されているのは、主に今現在のドキドキした心情なのですが、Cメロではそれを補足する形で、不確実性の高い未来に言及するフレーズがありました。

一方 Infinite Memories では、過去の思い出を振り返りながら、これからの毎日も一緒に過ごしていこうという意思が強く表現されています。 この2曲の歌詞と時間軸の関係を図示すると、次のようになります。

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では、カレンダーのコイビトの歌詞を、ここまでの解釈に則って見ていくとどのようなことが言えるでしょうか。

早速引用しますが、1Aメロの次のフレーズではこれからの1年に言及しています。

想像して? 1年分の、記念日じゃない日も全部
まだ誰も知らない未来 まずはふたり占めしよう

一方、2Aメロではこれまでの1年に言及しています。

覚えてる? 1年前の、同じ日は何をしてたっけ
こんな今日に出会えてること あの頃のふたりにはヒミツ

この部分だけ見るならば、カレコイが言及する時間軸上のスコープは1年前から1年後ということになります。

しかし、ここで改めて考えたいのですが、この歌詞にある "今日" とは、歌詞の主人公たちにとってのどの時点のことなのでしょうか?

First Sweet WaveInfinite Memories は、関係が深化していく中のある時間軸上の1点での心境を歌う内容でした。 一方、 カレンダーのコイビト で歌われる歌詞は、2人の関係が続く限り、 人生のあらゆる時点で成り立つ内容になっている ように思われるのです。

また、 First Sweet WaveInfinite Memories は恋愛を描いたものとしても、ソロ活動におけるファンとの関係性を描いたものとしても読み取れる歌詞でしたが、 カレンダーのコイビト に関しては、後者の解釈はあまり似つかわしくないように思います。

この曲の歌詞で描かれている "ふたり" の関係性は重すぎて、もはや "コイビト" が家族になって一緒に過ごす何十年もの人生を描いた歌詞としてしか解釈できないと思っています。 ちょっと陳腐なフレーズになってしまうことを承知で言いますが、 カレンダーのコイビトって人生そのもの じゃないですか?

ここまでの解釈を、 First Sweet WaveInfinite Memories と同様に同一の時間軸に載せてみると下図のようになります。

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ここでわたしが主張したいのは、次の3点です。

  • First Sweet WaveInfinite Memoriesカレンダーのコイビト の3曲は、主人公である2人の関係性が深まっていく様子を描いた3部作として解釈することができる
  • First Sweet WaveInfinite Memories は、あるタイミングの主人公2人の心境を描いた歌詞になっている
  • カレンダーのコイビト の歌詞はある時点以降の任意のポイントで成立する内容になっているため、汎用的であり、実質人生

ところで、中野サンプラザ公演の直後に放送されたくす×くすハウスの第38回では、楠田さん本人からセットリストの順番について次のような言及がありました。

「First Sweet Wave」のあとに、ちょっとしばらくしてから「Infinite Memories」が来て
最終的に「カレンダーのコイビト」が入ってくるんすよ
その3つは絶対にこの順番じゃないと嫌だって決めていて

くす×くすHOUSE 第38回

こうした発言の裏にどういった解釈があるかは定かではないものの、楽曲に対して抱いているイメージという意味では、ここで書いたようなことと多少なりとも通じる部分があるのかもしれない・・・と思ったりもしました。

これを読んだ皆さんは カレンダーのコイビト ってなんだと思いますか?

サイドストーリーのこと

楠田さんのソロプロジェクトにおけるメインストーリーがやがてコイビトになる2人の人生を描いたものであったとするならば、サイドストーリーとはどのようなものでしょうか?

それは端的に言って、 "約束" というキーワードで繋がってきた、演者とファンの関係性だとわたしは思っています。

ここで、 "約束" という歌詞を含む楠田さんの曲を並べてみます。

はてしない未来ごと 約束しようね

Infinite Memories

次の約束まで成長しあう指切り

POWER FOR LIFE

全開ずっと Try×3 まだまだ止まらない約束

ウェルカム・フューチャー

来年もここで待ってるからね
約束しようね 輝く君の笑顔大好き

Anniversary

楠田さんのライブに参加されたことのある方ならご存知かと思いますが、POWER FOR LIFEやウェルカム・フューチャーには引用したフレーズのところで指切りをする振り付けがあります。 こうした振り付けがあることは、これらのフレーズを大切にステージを作り上げている証左ではないでしょうか。

また個人的に思い出されるのは、1stライブツアー「Next Brilliant Wave」の東京公演における次のような楠田さんのMCです。

みんなが環境の変化とかで、一度イベントから離れてしまうことがあるかもしれないけど、わたしはいつでも戻ってこれるように歌い続けます。
ふとしたときに帰ってこれるような、そんな場所を作りたいと思います。
わたしはここに立っています。

このときに宣言された "約束" は、およそ半年後の「Eternal Precisous Wave」記念ライブで果たされたのでした。

約束、ちゃんと守ったでしょ?

こうしたこれまでのコンテキストを振り返ると、 "約束" という言葉は単に歌詞によく含まれているフレーズという以上の意味があるような気がしてきます。

"約束" というキーワードこそないものの、個人的に昔からエモいと思っているのが First Sweet Wave のこのフレーズです。

明日変わりそうな 毎日で待ってて

ソロデビュー当時のリリイベ等で初めてライブでこのフレーズを聞いたときは、まだFSW以降のソロ活動がどのように進んでいくのかが分からない時期でした。 きっとこれから色々なことが変わっていくんだろうけど、まだ何もわからない、その不確実性がよく表れていた歌詞だったと思いますし、それを聞くファンとしての心情も同じだったんじゃないかと思っています。

あれから2年が経って、ソロデビュー当時の "明日" からだんだん毎日が変わっていったことを、今の僕らは知っているんですよね。 節目節目のライブで度々披露されながら、歌われる度に新たなコンテキストが生まれて、着実にその思いを増してきた、そんな曲になってきたような気がしています。

おわりに

今回のエントリーでは、 First Sweet WaveInfinite Memoriesカレンダーのコイビト という3つの楽曲に対し、ライブやイベントのコンテキスト抜きでもエモい曲なんだよ、というところを紹介してみました。 逆に、ライブやイベントのコンテキスト込みで言うなら、やっぱり "約束" というワードは外せないよね、という個人的な楠田亜衣奈さんのソロプロジェクトに対する思いも共有してみました。

なんだか取り留めのない内容になっていましたが、伝えたかったことの5%くらい伝わっていたら嬉しいです。 個人的には他の楽曲に対してもくすぶっている思いがあるので、その内うまく言語化できるようになったらお伝えできたらいいなと思います。

そんなわけで、本日は10月7日。 楠田亜衣奈さんのソロデビュー2周年 です。 VAPさんより中野公演で披露された トドケ ミライ! のアコースティックアレンジ音源 も配信されておりますので、ぜひぜひそちらもダウンロードしてみてください。 来年には1stシングルも発売されるということで、これからも色々な展開を見せてくれそうな楠田亜衣奈さんのソロプロジェクトをよろしくお願いいたします。

わたしからは以上です。

The LoveLive! Must Go On

12/27 10:45 末尾に追記しました。

この記事は、ラブライブ!Advent Calendar 2016 25日目の記事として公開されました。

www.adventar.org

突然ですが、 ラブライブ!は好きですか?

μ'sやAqoursのことは大好きですか?

今年ラブライブ!というテーマでAdvent Calendarを作ったのは、端的に言うなら、自分以外のその 「好き」の気持ちが知りたいから でした。

1日目の記事に書いたように、今年2016年は、 μ'sがファイナルライブを開催し、Aqoursが本格的に活動を開始した年でした。

いまだからこそ、書かなければならないことがあると思いました。 いまだからこそ、書かなければならないことを抱えている人が、きっとたくさんいると思いました。

結果的に総勢21人の方にご参加いただき、様々な視点でラブライブ!について語っていただいたり、ラブライブ!をテーマにした確率論やソフトウェアに関する記事も投稿いただいたりしました。 若干まだ1記事だけ未完成のものもありますが 、きっと年内には投稿されることでしょう!

本当にありがとうございました!

最後なので、今回は少し大げさに ラブライブ!って何だ?」 というテーマで書きたいと思います。

ラブライブ!って何だ?

アイドルマスターでもなく、シンデレラガールズでもなく、セブンスシスターズでもなく、 「なぜラブライブなのか?」 が、わたしにとっての長い間の疑問でした。

実は、このテーマで文章を書くのも初めてではありません。 下のリンクは、2年前に書いたラブライブ!に関する記事です。

なぜラブライブ!が流行るのかというハナシ

このときに挙げた差別化要因は、

  • 男性がほとんど登場しない世界
  • 9人という人数
  • ガバガバな設定
  • 畑亜貴と他作曲陣による楽曲
  • ご都合主義的展開
  • 2次元と3次元を繋ぐライブ演出

というものでした。

また、下のリンクは、去年書いたラブライブ!に関する記事です。

tondol.hatenablog.jp

この記事では、次の項目を差別化要因に挙げました。

  • 体育会系的・全体主義的なストーリー
  • 歌詞やキャラ付けがもたらす野暮ったさ
  • キャスト・キャラクターの両方に通じるコンテキスト

しかし、差別化要因をいくつか挙げたところで、冒頭の疑問に答えることはまだできていません。 答えは結局言語化できるようなものではないんじゃないか?とも思い始めています。

いかさこさんが、24日のAdvent Calendarで言及した キラキラした "何か" 。 わたしがずっと探し求めているのは、その "何か" の正体なんだと思います。

とは言いつつも、「言語化できません」で終わってしまっては今回記事を書く意味が無いので、2点だけ、最近考えたことを共有したいと思います。

リフレインの物語

μ'sの物語における、もっとも大きな伏線の解決とは、テレビアニメの第13話で、3人から9人へとメンバーを増やしたμ'sが、始まりの曲 START:DASH! を歌ったステージにあったのではないかと思います。

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言うまでもなく、この状況自体が第3話の誰も観客のいなかったステージの繰り返しでもありますし、ダメ押しとして、第3話で語られた穂乃果の宣言がモノローグとして印象的に挿入されます。

このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。
応援なんて全然して貰えないかもしれない!
でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい!
今、私たちがここにいる、この思いを!

そもそものことを言えば、この文章は、ラブライブ!のプロジェクト開始当初に ウェブサイトに掲載されたプロローグの文章 でもありました。

また、2期の第13話、解散を決めたμ'sが屋上でこれまでの活動を振り返った後、穂乃果の目に映ったのは、1期のいちばん最初に "やり遂げよう" と誓った2年生3人の姿でした。

ねえことりちゃん、海未ちゃん。
……やり遂げようね、最後まで。

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直後に流れる Oh, Love & Piece! に、当時目頭を熱くしたファンの方は多いのではないでしょうか。

上記以外にも、2期の第12話では1期のオープニング曲の背景がラブライブ!本戦のステージだったという伏線を回収し、オープニングと同じ衣装でステージに立つμ'sの姿が描かれました。 テレビアニメの1期第8話・2期第9話で挿入された 僕らのLIVE、君とのLIFE や、 Snow halation のステージも、アニメ化される前からラブライブ!を応援してきたファンにとっては、これ以上ない憎い演出として目に映ったことでしょう。

現実においては、μ'sファイナルライブのステージで初披露された MOMENT RING に触れないわけにはいきません。 これまでのアニメにおける各メンバーのキャラクターを象徴するポーズや、シングルのMVにおける特徴的な振り付けなどが次々に披露され、6年間のμ'sの姿が散々目に焼き付いているファンにとって、それはまるで 死の直前に見る走馬灯 のようでもありました。 MOMENT RING のステージを肉眼で見たあの瞬間以上に、μ'sを好きでいてよかったと思ったことはありません。

アニメの演出にまで踏み込んでみると、ここまでに挙げた物語上大きな意味を持つ "リフレイン" 以外にも、随所随所にコンテキストを感じられるような小さな "リフレイン" が隠れていることがわかります。


【ラブライブ!MAD】μ'sic → Touch me【LOVE LIVE!】

このMADは、有志の方が制作されたものですが、言葉を尽くして説明するよりもこれを見た方がよっぽど納得していただけるかと思いますので、ここで紹介させてください。 *1

ところで、ここで挙げた "リフレイン" とはμ'sの物語だけが持つ特徴なのでしょうか? わたしはそうは思いません。 Aqoursの物語においても、 "リフレイン" を意識した演出はいくつか登場しています。

ひとつは、第12話における、東京から沼津に戻る途中、千歌が羽を拾うシーン。

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この羽は言うまでもなく、μ'sのメンバーがテレビアニメ2期のED曲 どんなときもずっと で最後にキャッチしていた羽に違いありません。 μ'sが何も残さなかったことの意味を千歌が理解したからこそ、羽はあの場所に舞い降りた。 そのことは、これまでも散々語られている通りです。

もうひとつは、第13話における MIRAI TICKET の導入部分。

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Aqoursが歩んできた道のりを観客に紹介するミュージカルパートは、誰にとってもわかりやすい繰り返しの演出として理解されたことでしょう。 この演出については賛否両論ありますが、そのあたりは近日中に 渡辺曜 をフューチャーした記事を執筆し、その中で言及する予定でおります。

* * *

ここまでで、μ'sにもAqoursにも共通して、演出的に強く意図された形での "リフレイン" が頻出していることを説明しました。

エモはコンテクストから生まれる という原則に則るならば、ラブライブ!とは繰り返しの構造を活用することにより、観客の 感情的な高まりを最大化しようとしており、なおかつそれを自覚的にやっている ということが言えるのではないでしょうか。

慣性やしがらみからの脱却

劇場版 ラブライブ! The School Idol Movie では、μ'sの解散という選択と、周囲からの期待の狭間で悩むメンバーの姿が描かれていました。

昨年の12月、ファイナルライブの存在が発表されてから、今年 "その日" を迎えるまで、一体何をするべきなのか、どのような気持ちで迎えるべきなのか、わたしたちもまた、劇場版のμ'sメンバーが悩んでいたのと同じように考え続けていた気がします。

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結局大した答えは出せなかったけれども、わたしは、なんだかそんな風景自体がラブライブ!の世界と繋がっているみたいで、なんだか嬉しく思ったことを覚えています。

zephiransasさんはご自身の記事 で、劇場版の 「跳べる」 というセリフは、μ'sとしての活動が終わったあと、これからも続いていくであろう穂乃果たち9人と新田さんたち9人の活動を後押しする言葉だと解釈しておられました。

わたしが 「跳べる」 という言葉に抱いた印象はそれとは少し違っています。

「跳べる」 という言葉は、ラブライブ!のコンセプトを端的に表現しているのではないかとわたしは思っています。 それは、慣性やしがらみに縛られずに 本当にやりたい!楽しい!と思えることを全力で続けること ではないでしょうか。

劇場版において穂乃果たちは、自分たちで決めた 「μ'sを終わりにする」 という約束と、周囲からの 「活動を続けてほしい」 という期待の板挟みになり、身動きがとれなくなってしまいました。

今まで自分たちがなぜ歌ってきたのか どうありたくて何が好きだったのか。
それを考えたら、答えはとても簡単だったよ。

女性シンガーが示唆した "答え" とは、「楽しかったからこそ、スクールアイドルをこれまで続けてこられた」ということに気づき、 スクールアイドルに憧れた当初の原点に立ち返る ことだったのではないでしょうか。

物語の後半で、穂乃果はひとり悩みながらも、こうした女性シンガーからの助言もあり、 "本当に楽しいライブ" へとたどり着きます。

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それは、μ'sを取り巻く しがらみからの脱却 であり、 誰も見たことのない点X へと視聴者を連れて行く、まさにラブライブ!らしい結論でした。

しがらみからの脱却という点で言えば、μ'sがファイナルと銘打ったライブを迎えられたこともそうです。

商業的に利益を生むことを考えるなら、ミュージックステーション紅白歌合戦への出演を果たしたモンスターのようなグループが、人気の絶頂で解散するなんていうのは、本来あり得ない話なんじゃないかと思います。

更なるアニメシリーズを作るなり、ライブを続けるなりすれば、人気のピークこそ過ぎてしまうにしても、きっともっと稼げるに違いないのに。 それでも終わらせたということは、μ'sというユニットのゴールが、単なる利益以外の別のところにもあったことを示す、何よりの証左ではないでしょうか。

* * *

ところで、μ'sにとってのしがらみが、どんどん大きくなっていく周囲の期待であったとするならば、Aqoursにとってのしがらみとは、 何をするにしてもμ'sと比較される、悪い意味での注目度の高さ にありました。

特に、プロジェクトが始まった当初は、Aqoursがまだほとんど目立った活動をしていないにも関わらず、ラブライブ!つながりで既に多くのファンを得ていることに対し、批判する声も見られたように思います。

ただ、個人的な意見として、そうした批判の声すらも、更なる力に変えていくだけの底力を持ったコンテンツがラブライブ!だと思っています。

仮に、μ'sにとってのハードルが、キャストやプロジェクト自体の 知名度の低さ であったとするならば、Aqoursにとってのハードルとは、現実の実績に見合わない 高すぎる知名度 にあったと言えるでしょう。

そのハードルの高さこそが、逆説的に Aqoursラブライブ!の第2の主人公たらしめている ように思われてならないのです。

現実におけるAqoursの立ち位置を知ってか知らずか、テレビアニメの展開においても、当初Aqoursμ'sの背中を追い続けていました 。 μ'sがあれだけの人気を集めるスクールアイドルになれたのは何故なのか? ーー その理由をあの手この手で見つけようとしていたように思います。

恋になりたいAQUARIUM のCW曲、 届かない星だとしても では、そんなAqoursの心情が歌詞によく表されています。

憧れるってステキだよ?
とにかくぜんぶ真似したい

ラブライブ!サンシャインの第12話で、Aqoursはμ'sが音ノ木坂に何も残さなかったことを知り、μ'sの背中を追いかけるこれまでの道とは違う道へと走り始めました。

この物語の先で、Aqoursが一体どんな点Xへとわたしたちを連れて行ってくれるのかは、 きっと、これからのラブライブ!プロジェクトが教えてくれることでしょう。

Aqoursが与えてくれる視点

これまで、ラブライブ!の物語とはすなわち、μ'sの物語でした。 だから、ラブライブ!について語ることというのは、μ'sについて語ることとほぼ同義でした。

しかし、Aqoursが本格的に活動を始めたいま、わたしたちは、ラブライブ!というプロジェクトを μ'sとAqoursの両面から観察できる ようになりました。

Aqoursがμ'sというしがらみから離れ、自らの道を確立していくにつれ、2つのグループに共通する "ラブライブ!性" とでも言えるものが、今後じわじわと見えてくるようになるのでしょう。

ラブライブ!は、点から線になりました

今後、ラブライブ!を構成する点がどんどん増えていくならば、きっと点や線だけでなく、平面や立体としてラブライブ!を見ることも可能になるでしょう。 そうなったときようやく、μ'sの歌った SUNNY DAY SONG のコンセプトが現実のものになったと言えるようになるのではないでしょうか。

おわりに

この記事では "リフレインの物語""慣性やしがらみからの脱却" という2つの視点で、ラブライブ!ラブライブ性とはどこに由来するのか?という疑問に答えようと試みました。 これまでの試みがそうであったように、やはりこの記事も、それだけではラブライブ!の本質には迫れないという結論になってしまうのですが・・・。

ただ、Aqoursというユニットが本格的に活動を始めたことで、その分だけ、μ's=ラブライブ!だった時代よりも多面的な考察ができるようになるだろう、という今後の展望を示しました。

* * *

最後に、 Angelic Angel からいちばん好きな歌詞の一節を引用させてください。

時間はとめられないと知って
君と早く会いたかったよ
届けたい言葉が音に溶けて Call Angel

この歌詞は、プロジェクトの途中からμ'sのことを知り、アニメを見たりイベントに足を運んだりするようになったファンの心情に驚くほど一致すると思うのです。

実際、ファイナルライブの現場に、プロジェクトの開始当初からμ'sのことを知っていたファンの人ってどのくらいいたのでしょう。 きっと数えるほどしかいなかったんじゃないかと思います。

それ以外の人にとって、μ'sはきっと何よりも 「早く会いたかった」 存在だったのではないでしょうか。

こんなに早くファイナルの日が来るのなら、パシフィコの3rdライブに行きたかった。 アニメの1期をリアルタイムに見たかった。 アニメ化の喜びを分かちあいたかった。 1stユニットシングルやソロシングル発売当初のライブを生で見たかった。 今はない横浜BLITZで、伝説の始まりに立ち会うファンのひとりでいたかった。

そういう願望を少なからず抱いていたファンにとって、 Angelic Angel の歌詞はあまりにも直接的に響きました。 *2

そんな切なさや楽しさを折り込みながらも、5万人の思いが音に溶けていった 2016年4月1日 。 あれから8ヶ月余り、まもなく2016年が終わろうとしています。

Aqoursと、それぞれの道を歩み始めたμ'sのキャスト9人の活動が今後も輝かしいものでありますように。 そんな願いを込めつつ、今回は筆を置きたいと思います。

絶対に横浜アリーナに行こうナ。 *3 来年も何卒よろしくお願いいたします。

* * *

12/27 10:45 追記

ブックマークコメントに関する言及をさせてください。

ぱいちゃんとえみつんの2人による「μ'sは解散じゃない」という最近の言及があるのに、「解散」という言葉を使っているようではラブライブ!の事は深く理解できないのではないか

はてなブックマーク - kei-anのブックマーク - 2016年12月27日

これ読んだ瞬間に「言葉遣いが迂闊だった」と思ったのですが、ただ、個人的に "解散" という言葉を使うのが「悪」というムードもどうなの?という気持ちがあります。 少なくとも、テレビアニメの展開においては、9人は "μ'sはおわりにします" と言っているわけで、それは解散以外の何物でもありませんよね。

現実の9人の関しては、たしかに新田さんやPileさんが解散を否定するような発言があったのは事実です。 また、そういったマインドによって救われるファンが多数いるのも承知しています。 わたし自身、μ'sが復活して、今度こそ潮風公園で生の LONELIEST BABY を歌ってくれたら・・・と思ったことは数え切れないくらいありますし。 一方で、三森さんはラジオ等で「解散」という言葉をストレートに使われていたようにも記憶しています。

もちろん、デリケートな話題ですし、この言葉を使うのは避けられるなら避けるべきだったと反省しています。 ただ、言葉狩りのごとく "解散" の言葉を避けようとするとも、逆に本質から離れてしまう恐れがあるのではないでしょうか。

わたしたちはいつかμ'sの活動休止の事実から時計の針を進めなければならない、じゃなければラブライブ!的ではないという個人的な思いもあります。

大事なのは、μ'sのこと、μ'sを好きだった事実を忘れずに前に進むことだと思います。 そのことは、4月1日に起こったことを「解散」と言おうが「活動休止」と言おうが変わらない、というのがわたしの意見です。

もちろん、「お前ラブライブ!ぜんぜん理解してねーよ!」という反論自体は大歓迎です。 よろしくお願いいたします。

*1:個人的には、BGMに touch me のremixを選んだセンスといい、音との同期といい、本当素晴らしい動画だなあ、、、と感服しております。数あるラブライブ!二次創作動画の中でも、いちばん好きなMADです。

*2:μ'sのことを最初から応援できたらよかったのに・・・と後悔しているファンにとってみれば、Aqoursの存在は、ある意味ひとつの受け皿としての役割を果たしているのかもしれませんね。

*3:1次先行も2次先行も盛大に落選しました。誰か助けてください。

楠田亜衣奈さんのソロ・プロジェクトを振り返る〜2年目のコタエあわせ〜

この記事は、ラブライブ!Advent Calendar 2016 17日目の記事として公開されました。

www.adventar.org

16日目の記事は 踊り出す世界、またはスケルトン - raingamesの日記 でした。 ラブライブ!とはインド映画である” という持論を持つわたしとしては、共感しながら読ませていただきました。 *1 意図していなかったとは言え、楠田さんテーマの記事で挟んでしまいすみません!

目次

はじめに

世はまさに声優アーティスト戦国時代。

国内の様々なレーベルから2016年だけでもたくさんの声優さんがソロ・デビューしました。 一方、μ'sのメンバーに目を向けてみると、昨年末にソロ・デビューを発表した久保さんを含め、徳井さん以外の 8人が既にソロ・デビュー を果たしています。

これだけたくさんの方々がソロとしての活動を精力的に行う中で、 新たにソロ・デビューをする意味とは何でしょうか? それぞれの声優さんのファンは、ソロとしての楽曲や活動をどのように受け止めているのでしょうか?

もちろん、商業的な意味で天下り的に決まる部分もあるのでしょう。 しかしながら、せっかくデビューするのであれば、するだけの理由が欲しい。 「ソロ・デビューをしてよかった」 と、声優さん本人もファンも言えるような活動であってほしい。 恐らく、ファンの誰もがそのように感じているはずです。

μ'sメンバー個人のソロ・プロジェクトは、あえて徳井さんもそのカウントに入れるならば、 9人9色の展開を見せているように思います

楽曲の持つ力と圧倒的な表現力で、タイアップなしで誰よりも早く武道館への階段を駆け登った 内田彩さん

多彩かつ強力なタイアップを引っさげ、まるでエンターテイメント・ショーを見ているかのような世界を舞浜に作り上げた 三森すずこさん

ただひたすら真っ直ぐに、音楽への想いを楽曲にぶつけ、歌を歌う喜びをホールに響かせた 新田恵海さん

声優として、アフレコやキャラクター・ソングの仕事に全力を注ぎ、あえてソロ・デビューはしないと公言している 徳井青空さん

南條愛乃さん については、先日のAdvent Calendarであまだむさんが 熱い文章 を投稿してくださいました。 *2

また、15日のAdvent Calendarでは、サイコミュさんが 楠田亜衣奈さんの魅力 について語ってくださいました。

若干趣旨が被ってしまい恐縮ですが、この記事も、 楠田さんのソロ・アーティスト活動 をテーマにしたいと思います。

www.vap.co.jp

ソロ・デビューから1年が経過 し、3rdアルバムの発売を来年の2月に控えたこのタイミングで、この1年間の活動をファンとして見てきた中で感じたことや、考えたことを少しでも文章の形で残しておきたいと思ったからです。

将来の自分のために残す、という部分もありますが、あわよくば、これから楠田さんの楽曲を聴いたり、ライブ・イベントに足を運ぼうとする 新しいファンの方に読んでいただけたら と思っています。

タイムライン

まず、改めてソロ・デビューからの軌跡をいくつかのチャプターに分割しながら書いてみたいと思います。

ソロ・デビュー前夜のこと

楠田さんのソロ・デビューが発表されたのは、2015年5月9日の くすくすくっすん☀さんくっすん祭り 東京公演でのことでした。

ソロ・デビューの一報の後、その場で披露されたのは10月に発売されるデビュー・ミニアルバムの1曲目、 トドケ ミライ! でした。

イベントの後、楠田さんはこのようなツイートをしています。

楠田さんがデビューへと辿り着く道のりは、必ずしも平坦なものではありませんでした。 むしろ、その途上には 険しい障害物がいくつも立ちはだかっていた 、とすら言えるかもしれません。

ハッキリ書いてしまいますが、他の声優さんと比べたときに、楠田さんはもともと歌唱力が突出しているというタイプではないと思います。

実際、渡部優衣さんと一緒に毎週放送しているラジオ「楠田亜衣奈渡部優衣の気分上等↑↑」(通称アゲラジ)では、下記のような発言をされています。

わたし、実は声優のお仕事を初めていちばん最初の仕事が歌だったの。歌のレコーディングが最初の仕事で。
レコーディングなんてしたことないから、どうレコーディングしていいのかもわからないし。
プロデューサーの人に「君歌ヘタだったんだね」って言われたのを覚えてる。
そのときに、もっとがんばらなきゃって改めて思って、すごく色々勉強したのを覚えています。

アゲラジ 第34回(2015年5月26日放送)

そんな楠田さんにとって、最初にソロ・デビューの計画が持ち上がったのは、 2015年5月よりももっと前 のことでした。

kai-you.net

2013年9月に、以前の所属事務所であるJTBエンタテインメントのグループ内レーベル JTB MUSIC のソロ・アーティスト第1弾として楠田さんの名前が挙がり、 「2013年冬にデビュー」 するという発表がありました。

ところが、実際にJTB MUSICからデビューしたのは タビカレガールズ というユニットのみで、楠田さんのデビュー計画は一旦立ち消えになってしまいました。 *3

ソロとしてのデビューはなくなってしまった一方で、この時期は、前述のタビカレガールズの一員としての活動や、同年6月に始まったPileさんとのユニット Please & Secret としての活動があり、ラブライブ!以外での歌唱を含むお仕事がたくさんある時期でもありました。

この時期、わたし自身はまだ楠田さんの活動を追ってはいなかったので、正直なところウェブに残っている資料以外では活動の実態をあまり知りませんし、このあたりのことは、いまさら蒸し返す話でもないのかもしれません。 しかしながら「数年前にこういうことがあった」と、ウェブの片隅に情報が残っているくらいならばいいんじゃないかとも思っています。

以前からソロ・デビューの動きはあったんですけど、具体的になったのは比較的最近で。
その間に色んな方がソロ・デビューに向けて動いてくださっていて、いざデビューが決まったときは、感謝の言葉しか出てこなかったですね。

リスアニ! 2015年10月号 Vol.22.2

リスアニのインタビューでも語られているように、最初に楠田さんのソロ・デビューの話が持ち上がってから、実際にVAPからのソロ・デビューという形になるまで、そこには 1年半におよぶ冬の時期 がありました。

そんなコンテキストの中で、2015年のさんくっすん祭りでソロ・デビューの一報がなされたとき、古くから応援しているファンの方や、楠田さん本人の心境がどうだったか、わたしにはなんとなく想像することしかできません。 しかしそれは、少なくない不安を含みながらも、きっと、 春の訪れのように暖かいものだった に違いないと思います。

First Sweet Waveのこと

ソロ・デビューの一報がもたらされた さんくっすん祭り で披露されたのは、楠田さん本人の作詞による トドケ ミライ! でした。

先ほども引用したリスアニでは、 トドケ ミライ! の歌詞に込められた思いについて、次のように語られています。

はじめてファンの方の前で歌う自分の曲でしたので、皆さんへの感謝の気持ちを伝えたかったんですよね。
それで、最初にいただいた歌詞に私の思いも加えていただき、共同作業のような形で言葉を紡いでいきました。
(中略)
1番では『これまで応援してくれてありがとう!』という感謝の気持ちを書き、2番は私の歌で皆さんの日常に大きなパワーを与えたいという思いを表現しました。

リスアニ! 2015年10月号 Vol.22.2

本人の言葉をそのまま借りるならば、 デビュー・ミニアルバムをCDとして聴いたときに、真っ先に流れる曲 に込められていた想いとは、 日頃のファンへの"感謝の気持ち" だった・・・ということになります。

トドケ ミライ! の初披露の後、さんくっすん祭りで最後に歌われたのは、μ'sの、そして楠田さんにとっても原点の楽曲 僕らのLIVE、君とのLIFE でした。

先ほど引用したアゲラジの発言を信じるならば、楠田さんにとっては、この曲は 苦い思い出のある1曲 でもあるはずです。 しかしながら、ラブライブ!での大きなステージを何度も経験する中で、 苦しい中でも着実に成長してきた実感を伴った1曲 でもあったはずです。

ちなみに、 僕らのLIVE、君とのLIFE は、1stミニアルバム・2ndアルバムの サウンドプロデュースを手がけた山田高弘さん が作曲された曲でもあります。

いま振り返ってみると、あの場で 僕らのLIVE、君とのLIFE が歌われたことは、これまで楠田さんが歩んできた 成長の道のりを振り返ること でもあると同時に、これから発売される デビュー・ミニアルバムへの展望を示すこと でもあったように思います。

一方、この日のさんくっすん祭りで最初に歌われたYUIさんの My Generation も、楠田さんの本人の口から何回か語られている、馴染みの深い曲でした。

私はYUIさんがすごく好きで、声優を目指しはじめた16の頃から聴いていたんです。
その時に歌ったのが「My Generation」て曲なんですけど、2番に〈制服 脱ぎ捨てた16のアタシに 負けたくはないから〉っていう歌詞があって、すごく共感していて。
だからデビュー発表をする日に歌いたかったんです。

声優・楠田亜衣奈、初のソロ・デビュー作をハイレゾ配信&インタヴュー - OTOTOY

奇しくも、デビュー・ミニアルバムの表題曲 First Sweet Wave は、 My Generation と同じく 鈴木Daichi秀行さんによる編曲 でした。 *4

わたしは、 16才の楠田さんが憧れたアーティストに楽曲を提供した作家さん が、 楠田さんのソロ・デビュー作に参加されている ということを知ったとき、このソロ・プロジェクトに込められた半端じゃない想いを感じました。 *5 ソロ・デビューの全貌がだんだんと明らかになっていく中で、きっと素晴らしいものが発表されるのだと、たくさんのファンが期待に胸を膨らませていく時期だったように思います。

そうした中、 このソロ・プロジェクトで何を実現するのか? どんなアーティストになりたいのか? という問いに関しては、楠田さん自身も悩んでいたことがいくつかのインタビューから伝わってきます。

たとえば、 アーティストとしてどんな存在になりたいのか? という質問に対しては、次のように答えられています。

それはこれから出てくる気がします。
とにかく楽しくマイペースに、頑張りすぎずにそのときの私を表現できるようなアーティストになれたらなって。
それで自分の感じたこと、見たことをファンの皆さんと共有できたら幸せなのかなって思います。

リスアニ! 2015年10月号 Vol.22.2

また、ソロとしての活動がファンにどのように受け止められるのか、 不安に思っている時期 でもあったようです。

実は不安もあったりしますけど…。
ファンの方々に『こういうアルバムは求めていない』と思われてしまうんじゃないか、とか、今まで何かの役を通して私のことを見てくださっていた方々が"楠田亜衣奈"として私を見たときにどう映るのかな、とか。
そのような不安は何度も頭をよぎりました

声優パラダイスR 2015 Vol.8

そんな中、 First Sweet Waveフラゲ日当日に開催された くっすんサポーター応援会 in サンシャインシティ は、ソロ活動におけるひとつのターニングポイントだったのではないかと思います。 *6

natalie.mu

「果たしてソロとしての楽曲やパフォーマンスが認められるのか・・・?」 という不安の中、大勢が見守る緊張のステージを終え、ピコハンを持って現れた楠田さんは、かわいらしくもありながら、普段よりもずっと頼もしく見えました。

その後、ミニアルバム発売前後のイベントを駆け抜け、翌月の11月に迎えたリリース記念イベント。

このときはまだ持ち曲が6曲しかなかったため、ライブではなく、あくまでも トークコーナーなどを交えたリリース記念イベント という体裁でした。

デビューという大きな一歩を踏み出したばかりで全く不安がないと言ったら嘘になるけど
くっすんサポーターのあなたが応援してくれたら乗り越えていける気がする!!
いや、乗り越えていける!!

First Sweet Wave リリース記念イベント パンフレット

東京と大阪、計6回のイベントを終え、11月22日の大阪ラスト公演のMCでは、次のようなことが語られました。

今後ね、アーティスト楠田亜衣奈としてどうしていきたいですか?ってインタビューがすごく多いんです最近。
正直ね、どうしていきたいかとか、あんまわかんないんですけど、このイベント6回通して感じたことは、「この空間が好き」。
なんかね、楽しいんですよ。
「あたらしくて懐かしくてあたたかい」。
なので、いつまでもこうして、楽しい空間を、楽しい時間を、楽しい想いを共有できる、そんなアーティストになりたいと思います。

それは、ソロ・デビューと First Sweet Wave という作品に対する、 楠田さんなりの"コタエあわせ" だったように思います。

わからないことはわからないと答えながらも、それでもファンと一緒に作る空間が楽しいと言ってくれることが、当時、ひとりのファンとしてどうしようもなく嬉しかったことを覚えています。

Next Brilliant Waveのこと

2016年2月に行われた さんくっすんBIRTHDAY〜27年前の今日、楠田亜衣奈が生まれるってよ〜 というふざけた名前のイベントで、2ndアルバムの発売が発表されました。

さらに、単なるリリースイベントに留まらない正真正銘のライブ(しかも全国ツアー!)が開催されることが発表されました。

BIRTHDAYイベントに関しては、サイコミュさんも言及していましたが、わたしは ナタリーさんのレポート記事にあるこのフレーズ が大好きです。

サポーターとの未来を祝福するアッパーチューン「オーマイダーリン」

楠田亜衣奈、くっすんサポーターと“みんなのお母さん”に感謝届けた誕生日イベント - 音楽ナタリー

あの日、 オーマイダーリン という曲が歌われたときの盛り上がりを、これほどまでに的確に表現するフレーズは他にありません。ありがとうナタリー。俺達のナタリー。

ともあれ、2ndアルバム「Next Brilliant Wave」の報は最高の形でファンに伝えられました。

4月になると、インストアイベントが各地で開催され、真っ先に Inifinite MemoriesPOWER FOR LIFE の2曲が披露されました。 *7

下記のインタビューでは、デビュー・ミニアルバム First Sweet Wave の内容を踏まえながらも、 Next Brilliant Wave では更なる “成長"、"進化” がコンセプトの軸であると語られています。

昨年リリースしたミニアルバム『First Sweet Wave』では"いろんな楠田亜衣奈を見せていく"というのをテーマにしていましたので、今回は"成長"や"進化"を表現したいと思いました。
そこで、これまで私のライブやイベントを支えてくださったチームの皆さんが感じる"いまの楠田亜衣奈"を、いろんな曲で表せたらなと思ったんです。

声優アニメディア 2016年6月号

トドケ ミライ! にファンへの感謝の気持ちを伝えたいという想いが込められていたように、 Infinite Memories にはソロ・プロジェクトで(あるいはもっと前から)ファンと見てきた景色が、 POWER FOR LIFE にはお互いがお互いのサポーターとしてよい関係を保ちながら進んでいきたいという想いが込められていたように思います。

1stアルバムの表題曲『First Sweet Wave』はデビューのドキドキを恋愛に置き換えて描かれた曲です。
今回の『Infinite Memories』や『POWER FOR LIFE』はその延長線にある歌詞になっていて、恋愛ものでありつつ、次のステップを踏み出そうとする前向きな気持ちが描かれています。

B.L.T. VOICE GIRLS Vol.26 |TOKYO NEWS マガジン&ムック

Infinite Memories に関しては、次のようなコメントもありました。

『あっ、イベントのときには、こんなやりとりしたなぁ……』みたいな思い出がよみがえってきました。
今までも不安だらけの私の背中を押してくれたのはファンの皆さんでしたから、そういう気持ちをアルバムの1曲目で歌えたのはよかったと思います。

声優グランプリ 2016年6月号

この言葉を信じるなら、やはり First Sweeet Wave と同様に、 CDを聴いたときに真っ先に流れてくる1曲目 は、 ファンへの気持ちを歌った曲 だった、ということになります。

一方で、本人の前進志向がそのまま楽曲として表現されたのが 進化系HEROINE という、まさに “進化"をテーマにした楽曲 でした。

『POWER FOR LIFE』が応援歌だとしたら、こちらは自分の中につねにもっていたい"信念"の楽曲。
声優を志していた当時の気持ちがよみがえって、もっともっとがんばろうという気持ちが沸き上がってくるんです。
つねに進化し続けたいという私の気持ちがそのまま出ているので、これから先、私の座右の銘は『進化系HEROINE』にしてもいいのかもしれません(笑)

声優グランプリ 2016年6月号

“成長"や"進化” のコンセプトは、ライブのステージにもよく現れていたように思います。

曲全体に振り付けのある楽曲は、1stミニアルバムの トドケ ミライ!HO♡HOLIDAY に、 恋愛対象Countdown内気なバービー進化系HEROINE の3曲が加わり、2ndアルバムまでの 17曲中5曲がダンスありの楽曲になりました

特に、 内気なバービー に関しては、楠田さん本人が振り付けを考えている、ということがインストアイベントで語られていました。

表現という観点で触れるなら、 Next Brilliant Wave は楽曲の幅が広いためか、 楽曲ごとに主人公を想定し、その子になりきって歌う という声優さんらしいアプローチに挑戦されたそうです。

今回のアルバムでは"くっすんらしさ"を見つけられたらいいなと思って、
(中略)
その答えとして、曲に合わせて主人公の女の子を作り、その子になりきって歌うというアプローチに挑戦したんです。

B.L.T. VOICE GIRLS Vol.26 |TOKYO NEWS マガジン&ムック

楽曲やステージ、表現など、様々な面での"進化"が形となって実現された のが、楠田さんにとっての初めてのライブでもある、 Next Brilliant Wave の全国ツアーでした。

忘れられないエピソードとして、ツアーの初回・福岡公演では、 楠田さんからファンに向けての逆スタンド花が会場に飾られる というサプライズもありました。

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このスタンド花に散りばめられたガーベラの花言葉は、 Next Brilliant Wave のコンセプトと同じく “希望・常に前進” でした。

夢のつぼみ の歌詞にある

あなたのもとへ いつでも いつまでも この花を届けるよ

というフレーズをそのまま現実にしたかのようなサプライズに、その場で涙ぐんでしまうファンも多数いたとかいないとか・・・。

“アーティスト楠田亜衣奈"って響きは未だに慣れません。
でも、たくさんの応援がこうしてカタチになっていって。
少しずつ着実に前進しています。
そして、その前進と共に素敵な思い出がどんどん増えていく。
これからの私をつくっていく。
それがとってもとっても嬉しくって楽しくって… もっと!もっと!次へ進みたい!!って気持ちになります。

Next Brilliant Wave ライブツアーパンフレット

ツアーの国内ラスト公演では、こんなMCがありました。

ちょっとつらいことがあったときは、みんなの笑顔を思い出してがんばろうって思えるようになりました。
……みんなにとっても、私がそんな存在になれたらいいなと、心から思っています。

声優グランプリ 2016年8月号

また、記憶だけで書いているので意訳になってしまいますが、このようなMCもありました。

みんなが環境の変化とかで、一度イベントから離れてしまうことがあるかもしれないけど、わたしはいつでも戻ってこれるように歌い続けます。
ふとしたときに帰ってこれるような、そんな場所を作りたいと思います。
わたしはここに立っています。

群青シネマMy yesterdays という曲は、いまから過去を振り返る楽曲だと思っているのですが、その切なげな歌詞が 何らかの事情で現場を離れてしまったファンのことを歌っている ように聞こえることがあります。 そんな楽曲が歌われた後のMCだったので、なんだかジーンとなってしまって、会場を後にしてからも何も言えなかったのを覚えています。

楠田さんはときどき、単なるファンからすると想像もつかないくらい遥か遠くを見ているように感じられることがあり、このときもそんな風に感じました。

楠田さんのソロ・プロジェクトの特色とは?

以上のタイムラインを踏まえ、 First Sweet WaveNext Brilliant WaveEternal Precious Wave という3つの作品と、それに関連するイベントに参加したことで、個人的に思い至った2点の特色について紹介したいと思います。

借りモノを自分のモノへと変えていくこと

楠田さんは、 自分が参加したり観に行ったりしたイベントでよかったと思えるものは、すぐに自分のイベントにも取り入れる 姿勢を持っていると思います。

たとえば、 Next Brilliant Wave のライブツアーでは、 My yesterdays のアウトロで 客席に向かって深く頭を下げる という演出がありましたが、これは飯田さんが自身の tour of KISS3 で披露された演出に近いものでした。

また、ついこの前の Eternal Precious Wave リリース記念ライブでも、 群青シネマMy yesterdays は着席の状態で披露され、 夢のつぼみ では更に “ペンライトを消して聞いてほしい” と楠田さんの口から希望が語られる一幕がありましたが、これも南條さんが 自身のライブツアー において ヒカリノ海 からのバラード曲ゾーンで披露していた演出と同様でした。

万が一、本人がこれを読んだら “ネタばらしするなよ!” と怒られてしまうかもしれませんが、わたし自身は、そうやって他のアーティストさんの演出を取り入れていくことはいいことなんじゃないかと思っています。

事実、例に挙げた2つの演出は、楠田さんの楽曲にもよくマッチしていましたし、特に、 Eternal Precious Wave リリース記念ライブでのバラード曲ゾーンは、初めての アコースティックVer.の披露 でもあったため、立ってサイリウムを振るよりも、座って集中して聴きたいと思っていたファンは多かったに違いありません。

そんな “インプット"と"アウトプット"の関係 について、インタビューで楠田さんは次のように語られています。

今年は舞台やライブを見に行く機会がすごく増えて、”インプット”することが多かったんです。
ですから、来年も引き続きインプットをしつつ、自分の活動にそのインプットを活かしてどんどん"アウトプット"していきたいですね。

声優パラダイスR 2016 Vol.15

タイムラインは戻りますが、 Next Brilliant Wave のツアー最終日となる台湾公演では、すべてのセットリストを終えたあとにも関わらず、 ダブルアンコールの声に応えて楠田さんがステージ上に出てきてしまう というちょっとしたハプニングがありました。

そのときに一体何をやったかというと、

もう歌う曲はないので歌いません!

と宣言した後、概ね次のようなMCと “さんくっすん締め” が披露されたのでした。

正直言っちゃうと、ライブの後の三本締めってあんまり好きじゃないんです。
昔、どのイベントとは言わないけど、アンコールで出ようとしたら三本締めで締められちゃったこともあったし……。
だから、みんなで楽しくイベントを終われるような締め方を考えました!

代わりに披露された “1、2、さんくっすん!” がカッコイイかというと決してそんなことはない気がしますが(暴言)、 三本締めをやりたい人とやりたくない人がいて、やりたくない人がモヤモヤしてしまうよりは、みんなで納得した上で、現場ならではの挨拶で終われたほうがきっと楽しい という配慮だったのでしょう。

これは、借りモノだった三本締めをみんなで楽しく終わるための “自分のモノ” に変えた好例なんじゃないかと思っています。

あともう1つ、ここで言及しておきたいのは、一時期まとめ系ニュースサイトで取り上げられた “コール禁止” についての話です。

あくまでもわたし個人の視点での意見になりますが、楠田さん本人は “一律にコール禁止” とは1度もおっしゃっていない と思います。

“この曲はしっとりと聴きたい”という一定数のファンの声を聞いた上で、曲によっては、咲きクラップなどの明らかに声に被せるたぐいのコールはない方が嬉しいこともあるというだけの、あくまでも限定的な意見なんじゃないでしょうか。

事実、 Next Brilliant Wave ライブツアーでは 静かめの曲はコールなしで静かに楽しむ 一方で、 ラブリージーニアス では “好きにコールしていいよ!” という本人からの許諾があったこともあり、それはもう 活き活きとコールを叫ぶファンの姿 がありました。

また、細かいところでは、楽曲ごとのサイリウムの色なども、 楠田さん本人がこうしよう!と提案されることはあまりない ように思います。

Next Brilliant Wave のライブツアーが終わった後の本人のブログ記事には、こんな一節がありました。

誰か1人だけが楽しくてもダメだし、
誰か1人だけがつまらなくてもダメで
みんなで遊んで楽しい
そんなライブにしたかったので
少しだけ、私のこうしたいを伝えました。
(中略)
「くっすんのライブではこう楽しむ」
みたいなモノをみんなで一緒に創っていけたら良いなと思ってます!
今までの常識ではなくて
なにか新しい「くっすん識」
みたいな?

First live tour|楠田亜衣奈オフィシャルブログ「くすくすくっすん」Powered by Ameba

天下り的に声優現場の「常識」を受け入れるわけではなく、楽しい空間を作るためにひとりひとりの意見を取り入れながら、もっともっと楽しいイベントを作っていきたい。

“借りモノ” を “自分のモノ” へと変えていく ―― いわば新しい概念を導入する柔軟さと、それを改善するPDCAサイクルが文化として根付いている、というのが楠田さんのソロ・プロジェクトに対する1つめのわたしの意見です。

双方向的なコミュニケーション

ライブに行くと時々感じることですが、 楠田さんは本当にびっくりするくらいファンのことを見ている ように思います。

たとえば、 イベント中にファンの人を見たりするんですか? という質問に対しては次のように答えています。

結構見ます、私。
そしたら『この人こんな風に笑うんだ』とか、『タオルを回すとこんな盛り上がりなんだ』って発見とか、リリイベも回を追うごとに一体感が高まっていく感じでこうやって完成されるんだ、もっと先を見たいって感じました。

リスアニ! 2016年5月号 Vol.25

ファンとの関係性を語るのならば、何よりもまず、 First Sweet WaveNext Brilliant Wave の2つのアルバムにおいて、 作品の核となる曲がファンを意識して書かれている ということに目を向ける必要があるでしょう。

First Sweet Wave のCメロにある、

あたらしい 懐かしい あたたかい 空の下で

というフレーズが、 くっすんサポーターと作る空間のことを暗示している のは、 First Sweet Wave リリース記念イベントの最後に本人の口から “コタエあわせ” があった通りですし、 POWER FOR LIFE の歌詞の中にも、

君の好きな人でいられる人が誇り

という、 くっすんサポーターからの声援に力強く答える一節 がありました。

また、 Infinite Memories にも、 ソロとしての活動ひとつひとつをアルバムの1ページにたとえるフレーズ がありました。

通常、ソロのライブという空間は、 声優さん1人に対してファンが数百人いるという、とてもコミュニケーションが成り立つとは思えない環境 です。 しかしながら、楠田さんがソロとしての楽曲を歌い、ファンがその声援に答えるとき、そこには何らかの 言葉を超えたコミュニケーションが成り立っているような気がする のです。

それは恐らく錯覚に違いないし、もしかしたら声優さんのイベントに足繁く通う人間は大抵同じようなことを考えているのかもしれませんが(笑)、でも、その錯覚を信じることなしにどうしてファンがファン足り得るのか? とも、ごく個人的にですが思うのです。

一方通行ではなくて、私からも皆さんに元気を与えられたらいいなといつも感じているので……。
皆さんとは今のような近い距離感のまま活動していけたら楽しいだろうなと思います。

声優グランプリ 2015年9月号

楠田さんはよく、イベントやライブで “遊ぶ” という表現を使われます。 *8

それがいつ頃から定番化したかはよく覚えていないのですが、個人的には、 楠田さんの現場ほどこの言葉が似合う声優さんのイベントはない のではないかと思います。

ファンは、お客さんとしてただ楽しませてもらうというわけではないし、演者さんも、一方的なエンターテイメントとして空間を作ろうとしているわけではありません。 お互いの歩み寄りによって、より楽しく、より遊べる空間を作ろうとする雰囲気 があるのだと思います。

人によっては、そうした部分を少し敷居が高いように感じられてしまうのかもしれません。 でも、逆に言えば、新しくファンになった方も含め、 誰もが楽しめるような空間であるために歩み寄りができる 場所なのではないかとも思います。

最初の頃は『どんなアーティストになりたいか』って質問があったんですけどいまいちピンと来てなくて、声優をめざしてこの業界に入ったので『アーティストってなんだろう?』って感じでした。
でもリリース・イベントやライブをやらせていただいて、ファンの方と同じ空間を共有できるのがとても楽しいなって。
一方通行じゃなくてお互いがお互いを想い合ってる関係を作れたのがうれしかったんです。

リスアニ! 2016年5月号 Vol.25

脈絡なく、これまでライブで何回も披露されてきた オーマイダーリン の話をしますが、

最高!この瞬間(とき)終わらせたりしないから

この “最高!” と歌うときのテンションの高さが本当に “最高!” のときがあり、そういうふとした瞬間に、 楠田さん本人がどうしようもなく楽しんでいること が伝わってきてしまいます。 ファンとしては、そんな姿を見たらもう楽しくなってしまいますよね。 個人的な経験談で言うと、 ラブリージーニアスの間奏で突然モンキーダンスが始まるとき も、本人がだいぶ楽しんでいるときだと思っています。

First Sweet Wave から Next Brilliant WaveNext Brilliant Wave から Eternal Precious Wave とプロジェクトが進行していく中で、最初はまっさらだった “アーティストとして歌う意味” も、徐々に変化してきたように思います。

もちろん、他の声優さんが自分の中にある世界観の表現だったり、音楽が好きだという気持ちからアーティスト活動をするのとは少し違うかもしれないけれど。 楠田さんにとってのそれは、この節で述べてきた “双方向的なコミュニケーション” にあったのでした。

私が歌う意味って何だろうって考えてきたんです。
でも、私の歌が聞きたいって言ってくださるファンの方が目の前にいて、その方々がライブなどですごく笑顔になって楽しんでくれている様子を見て、あぁ、このために私は歌を歌っているんだなぁ、って感じて。
だから私にとっての歌は、ファンの方たちとのコミュニケーションツールというか、同じ思いを共有できる表現の形なのかなと思ってます。

My Girl “VOICE ACTRESS EDITION” Vol.16

個人的な意見になってしまいますが、わたしは、 楠田さんのファンほど幸せなファンはいないのではないか と思っています。 演者の側からこれだけファンのことを考えてくれて、 コミュニケーション自体を"歌う意味"であるとまで言ってくれる

お互いに楽しい空間を作りたいと思っていても、思ったように物事が進まないことだっていつかはあるでしょう。 しかしそれさえも、 Infinite Memories の歌詞に包含されているように思いますし、もっと言えば、色々な事情で現場を離れてしまったとしても、きっと戻ってこれる場所があるのだと本人が述べられています。

現状を維持しようとする慣性に縛られすぎず、いまを楽しいと感じる気持ちを大切に思いながら前に進み続けること。 それが肯定されているというのが、楠田さんのソロ・プロジェクトに対する2つめのわたしの意見です。

Eternal Precious Waveのこと、これからのこと

「Next Brilliant Wave」東京公演の様子が収録された映像ソフト Eternal Precious Wave のリリース記念ライブが行われたのは、つい先日、11月のことでした。

こうやって文章に起こしてみてもやや意味不明で、一体何のイベントなんだよ(笑)と突っ込んでしまいたくなるような位置付けのイベントでしたが、蓋を開けてみれば、 Next Brilliant Wave のツアー公演ともまったく異なる、非常に完成度の高いライブが待っていました。

まずセットリストの順番からしてライブツアーとはまったく異なっていましたし、冒頭からEDMに合わせ ダンサー2名とのダンスステージで幕を開けたこと や、セットリストの最後が振り付きの magic だったことなど、今回のためにたくさん準備をしていたことがよく伝わってくる公演でした。

その Eternal Precious Wave リリース記念ライブの最後に発表されたのが、3rdアルバムの発売でした。 3rdアルバム「カレンダーのコイビト」 に関しては、既に本人の口から

今までとは少し違う雰囲気のアルバムになる
絶対にいいものになると思う

と次回作への自信を覗かせる発言がありました。

また、今後の活動に関しては、 Eternal Precious Wave リリース記念ライブ・大阪公演で次のようなMCがありました。

ソロ・デビューから1周年を迎え、少し欲が出てきました。
いつになるかまだわからないけど、ポップアップできる会場でライブをやりたい!
みんなから独り立ちして、ひとりで歩けるようになりたいと思います。

更に、 Next Brilliant Wave ライブツアーのMCで “わたしはここに立っています” と宣言したことに対し、

約束、ちゃんと守ったでしょ?

とちゃんと “指切りの約束” を裏切らなかったことを自慢げに誇る一幕もありました。

ちなみに、ポップアップのあるステージをやりたいというのは、ソロ・デビュー当初から雑誌のインタビュー等で語られていたことでした。

あと、ライブでポップアップ(ステージ下から跳び上がって登場する舞台演出)をしてみたい!
実はやったことがないんです。
それができる会場でライブをやりたいし、跳びたいんです!

Pick-up Voice 2015年11月号

“少し欲が出てきました” という言葉の意味は、恐らくこれからの活動の中で徐々に語られていくことになるかと思います。

しかし、前節で書いたような “双方向のコミュニケーション” ができる雰囲気を守りながら規模を拡大するという意味であるならば、それはきっと、前人未到のチャレンジになるのだろうと想像しています。

Eternal Precious Wave リリース記念ライブは、 “Waveシリーズ” の集大成となるイベントでした。 恐らく、3rdアルバム、「カレンダーのコイビト」は、 “Waveシリーズ” 以降のプロジェクトがどうなっていくのか? という問いに対するひとつの回答になるでしょう。

発売日である 来年2月1日、楠田さんの誕生日当日 を楽しみに待ちましょう。 現在発表されている情報を見る限り、きっと2017年2月からの12ヶ月が楽しくなるようなアルバムになるに違いありません。

おわりに

「コタエあわせ」と題し、楠田さんのソロ・プロジェクトへの雑感を書いてきました。 ここまで読んでくださった方が、少しでもアルバムやライブに興味を持ってくだされば、それ以上に嬉しいことはありません。

ここで強く言いたいのは、 ラブライブ!以外での楠田さんの姿を知らない方にこそ、楠田さんのソロ楽曲を聴いたり、ライブに足を運んだりしてもらいたい と言うことです。 それが、ラブライブ!Advent Calendarにこの記事を投稿しようと決めたキッカケでした。

もし1回聴いたり体験したりして、それでも合わないのであれば仕方ないと思います。 でも、もしファイナル以降の楠田さんに触れる機会がなかったのでしたら、是非この機会に、ソロ・プロジェクトを通じて成長した部分を見ていただきたいと思っています(何様だよって感じですね)。

個人的に、 楠田さんは思ったり伝えたいと思ったことを必ずしも全部口に出すタイプではない と思っています。 でも、口に出さないながらも、本当に大事なことに関しては、鋭く本質を掴んでいる方ではないかとも思っています。

最後に、μ'sのファイナルライブが終わった後の楠田さんのブログ記事から引用させてください。

私はきっと
ふとしたことで思い出します。
場所や音や匂いで…
 
ラブライブ!のこと。
μ'sのこと。
東條希のこと。
 
楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと苦しかったこと、ぜんぶ。
そして、きっと、幸せな気持ちになると思う。
 
そんな気持ちを、きっとこれから先、一生もらえる。

ラブライブ!μ's Final LoveLive!~μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪|楠田亜衣奈オフィシャルブログ「くすくすくっすん」Powered by Ameba

今回の記事で、恐ろしく身勝手な文章を書いてしまったかもしれません。 恐ろしく上から目線な文章を書いてしまったかもしれません。 それでも、きっと何かをアウトプットすることでいい方向に変わることもあると信じたいのです。

まずは来年1月13日楠田亜衣奈さんが表紙の声優パラダイスR Vol.16が発売されます 。 続く来年2月1日には、 3rdアルバム「カレンダーのコイビト」が発売されます 。 何卒、何卒よろしくお願いいたします。

ウェルカム・フューチャー! (記事中で一切話題に挙がらなかったので、ここに書いておきます)

・・・

ラブライブ!Advent Calendar 2016、続く18日目(といってももう今日ですが)の担当は すみたくさん です。 どうぞよろしくお願いいたします!

Next Brilliant Wave(通常盤)(CD)

Next Brilliant Wave(通常盤)(CD)

ウェルカム・フューチャー

ウェルカム・フューチャー

声優パラダイスR vol.16(AKITA DXシリーズ)

声優パラダイスR vol.16(AKITA DXシリーズ)

*1:https://twitter.com/tondol/status/607356264180367361 を参照のこと。

*2:あまだむくんは内田彩さんの楽曲に関しても、Advent Calendar外で 熱い記事 を投稿されているので、是非ご一読ください。

*3:ototoyさんの記事 では、「音楽性や方向性の違い」が原因で実現しなかった、とあります。

*4:実は、 HO♡HOLIDAY の編曲をされているArmySlickさんも、元々E-girlsなどに楽曲提供をされていた方でした。楽曲制作陣のキャスティングが、楠田さんの希望を元にされていることは疑いがないと思います。VAPさんの力なのか、あるいは山田さんの人脈パワーなのか・・・?

*5:そのあたりを勘案すると、 Listen with のセットリストを見るのもなんとも楽しいです。

*6:余談ですが、アルバム発売日前後のフリーライブイベントでは、これ以降「喝入れ」が開催されるのが定番となりました。また、「喝入れ」の日に楠田さんやファンがカツカレーを食べるのも定番化しました。

*7:インストアイベント以外にも、このときは J-WAROS 2016 という当時の事務所主体のイベントでも楽曲の披露がありました。

*8:LiSAさんもよく 同様の表現をされるらしい ので、これも楠田さんが影響を受けて自分のイベントに取り入れた、という結果なのかもしれません。

ラブライブ!サンシャイン!! パズルラリーのススメ

この記事はラブライブ! Advent Calendar 2016 - Adventarの1日目の記事として公開されました。

ご挨拶

というわけで、ラブライブ!Advent Calendar 2016が始まりました!

2014年に別の方が主催されていたラブライブ!Advent Calendarに参加し、参加した声優さんのイベントについて書いたりしたのですが、今年は同じ趣旨のものが見つからなかったので気軽に作ってみました。

ちなみにAdvent Calendarとは何かというと、下記のようなイベント、あるいはエンジニア発の文化です。

Advent Calendarは本来、12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つ、穴が空けられるようになっているカレンダーです。WebでのAdvent Calendarは、その風習に習い、12月1日から25日まで1日に1つ、みんなで記事を投稿していくというイベントです。

引用元:Adventar

改めて考えると、2016年は、μ'sがファイナルライブを成功させ、ラブライブ!サンシャイン!!のアニメが放映された年です。 サンシャインのアニメが終了し、動きが一段落したとは言え、我々にはまだまだたくさんの語るべきことが残っているのではないでしょうか。

μ'sのことでもよし、Aqoursのことでもよし、中の人のことでも外の人のことでも、曲についてでも。 具体的なイベントのことを語ってもよし、何かしらラブライブ!に触れることのある話題であれば、なんでもOK!という趣旨のカレンダーなので、是非気軽に参加していただければと思います。

これを書いている時点でまだ枠が10日以上空いているので、何卒よろしくお願いします。

・・・

ここからが本題になります。

ラブライブ!サンシャイン!! パズルラリー」とは?

ラブライブ!公式が沼津・三津の旅館組合とコラボして開催している下記の企画(正確には「ラブライブ!サンシャイン!! 沼津・内浦&西浦お宿探訪パズルラリー」)のことです。

www.numazu-yado.com

一言で言うと、ラブライブ!サンシャイン!!の舞台でもある沼津・内浦地区近辺の宿を回り、宿泊したり、お食事をしたり、お土産を買ったりして所定の金額を使うことで、宿ごとに決められたパズルのピースをもらうことができ、それらを集めてパズルを完成させると、三津観光協会公認の認定証をもらうことができる・・・という企画です。

わたしは先日、2日間でパズルラリーに参加しているお宿を周り、パズルを完成させてきました。

なるほど、町おこしとしてはおもしろい取り組みで、オタクは単なる聖地巡礼以外の目的を持って内浦地区を訪れることができるし、宿としてはこれまで接点のなかったお客さんを得ることができる、ファンにとっても地元の観光業の方にとってもWIN-WINの素晴らしい企画であるようにも思われます。

ところが・・・

敷居の問題

この企画、率直に言ってファンにとっての敷居が高いです。

まず、単純に東京からそこそこの距離があること。 首都圏に近いとは言え、東京から内浦地区へは車で行っても約2時間半、公共機関を乗り継ぐなら3時間弱は掛かる道のりです。秋葉原のように仕事帰りにふらっと・・・というわけにはいかず、それなりの熱量を持って現地に向かう必要があります。

さらに、費用も馬鹿にはなりません。パズルのピースを集めるには各お宿で1,000円(1ピース)もしくは2,000円(2ピース)を使う必要があり、加えてパズルラリーの開始時にパズル枠を1,000円で購入する必要があるため、全12ピースを集めるのに最低13,000円が掛かります。 もちろん、実際には交通費やその他の飲食・観光に掛かる費用も加わるため、20,000円は下らない費用が必要になるでしょう。

もう一つ、こちらの地図をご覧ください。

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沼津駅から内浦地区へはおよそ14キロ。 これはまあ、内浦地区を訪れるなら避けることのできない移動なので、いいとしましょう。

問題はパズルラリーの参加お宿が内浦地区(ABCD)・西浦地区(E)・大瀬崎(FG)の3ヶ所にまたがっていることです。 内浦と西浦は約5キロ、西浦と内浦は約10キロ離れており、しかも大瀬崎に向かう道は海岸沿いを行くかなりの山道です。 仮に西浦までは内浦からがんばって歩けたとしても、その先の大瀬崎に歩きで向かうのは現実的ではないでしょう(気合で歩いた人もいるという噂を聞きましたが・・・)。 このことからも、公共交通機関で向かう場合は事前の計画を立て、使う交通機関を予め決めておかないと交通手段がなくなってしまう、ということが分かるでしょう。

まだ困難があります。それは、各お宿の営業時間の問題です。

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これはわたしがパズルラリーに参加したときに作った自分用の営業時間表ですが(浜の家さんは11時から15時まで営業、という風に読みます)(曜日や時期によっても営業時間は変わりますので、正しい情報については必ずパズルラリー公式サイトをご参照ください)、見ての通り、多くの宿は午前中〜お昼の時間帯しかパズルラリーの受付をしていません。 なので、短期間でのコンプを目指す場合、営業時間を考慮しながら効率的な周り方を実践する必要があります。

と、ここまで敷居の高さについて書きましたが・・・

パズルラリーの喜びとは

逆に、パズルラリーに参加することで得られる喜びとは何でしょうか。

それは端的に言って、聖地巡礼だけにとらわれずに、内浦や西浦という土地が持っている本来の魅力に触れられることです。

もちろん、パズルラリーという目的を達成することで得られる喜びもあるでしょう。 ただ、わたしの場合は、パズルラリーという企画があったおかげで、何回か行ったことのある沼津・内浦地区にもう一度足を運ぼうと思えたし、特に聖地として知られているわけでもないお宿に泊まることになり、結果的に「内浦はいいぞ」「西浦もいいぞ」と素直に思えるようになりました。

なので、個人的にはパズルラリーに参加されているお宿を「少なくとも現地に1泊しながら」回ることをお薦めします。

パズルラリーだけを目的にして、極限に最適化された動きで回ることができるなら、恐らく1日でパズルをコンプすることは可能でしょう。 しかし、それだと満足に観光もできないし、体験としてちょっともったいないと思うのです。

ラブライブ!サンシャイン!!が生まれた土地の雰囲気を感じながら、おいしいお魚料理を食べたり海を眺めたりしたくありませんか? 淡島神社に登って汗をかいてから桜内梨子ちゃんも入ったであろう温泉に入りたくないですか? パズルラリーは、きっとそんな願望を叶える道標になる企画なんじゃないかと思うのです。

パズルラリー参加記

というわけで、長い前書きになりましたが、ここからわたしが実際にパズルラリーに参加したときの感想やtipsなどを書いていきます。

G. シーサイドイン大瀬館さん

前述の地図や営業時間を見れば察していただけるかと思いますが、このスタンプラリー、コンプする上で最大のハードルとなるのは大瀬崎にある2つのお宿です。

なので、まずは初日、まっさきに大瀬崎を回ることにしました。 今回は知り合いの自家用車に載せてもらって行ったので、行き方に関して特に気にすることはありませんでしたが、公共交通機関の場合はオンデマンドタクシーが有力な手段になると思います。 路線バスは往復の本数が少ないので厳しいんですよね・・・。

まずはシーサイドイン大瀬館さん

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等身大パネルルビィちゃんでした。いきなりピギィとは縁起がいいですね!(謎)

大瀬館さんはなんというかルビィちゃん愛がすごい。巡礼ノートもありました。 ピースをくれるときも「うちはルビィちゃんのピースね」と言いながら渡されます。 おかげで、直前に軽く接触事故を起こしてしまった(人身事故ではありません)ことも忘れて和むことができました。

こちらではパズル枠を購入してから、ドリンクとお土産で2ピース分の2,000円を達成。 お土産ですが、置いてあるグッズ類は正直あんまり欲しい!という感じにはなれなかったので、普通に会社で配る用に静岡っぽいお土産のお菓子とかを買いました。 食事処の窓からめっちゃダイビングしている人が見えるので、「海の音が聞きてえ・・・」という感じになります。わたしもその内潜ると思います。

F. オーシャンビューフジミさん

フジミさんは大瀬館さんから歩いてすぐのところにあります。 ダイバー向けショップという感じの佇まい。

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等身大パネル果南さんと曜ちゃん

ここでは「アジのひもの定食」をいただきました。メニューの「みかんじるこ」も気になりますね。 ここは2ピースのお宿なので、残り約1,000円分をどうしようか、と悩んでいたところ、女将さんに「お風呂はどう?」と提案されたので入浴してみることにしました。

お風呂なんですが、なんというか、海から上がったダイバーさん向けのお風呂でした。 底に溜まっている砂とかがザラザラしている。

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フジミさんを出てから、少し大瀬崎の岬を回ってみました。

岬の部分は大瀬神社という神社になっているのですが、その中に「神池」という池があります。 「神の池っていうくらいだからSRか。いやURくらいか?」と思いながら行ったのですが、ただの濁った池でした。 周りは海に囲まれながらも淡水の池ということで珍しいらしい。

E. 駿陽荘・やま弥さん

長井崎中学の一帯や、PV撮影の回で登場した長浜城跡などを巡礼していると、辺りはすっかり暗くなってしまいました。 車を走らせ西浦方面へ。

この日は駿陽荘・やま弥さんに宿泊することにしました。 等身大パネル花丸ちゃん

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予約のときに「手巻き寿司コース」というのをお願いしてみたところ、夜ご飯に食べきれないほどのお刺身が出てきました。 写真には映っていませんが、揚げ物系のお魚料理や煮付け系のお魚料理も登場。 ボリュームが半端じゃありません。 ちなみに、お店の親父さん曰く「手巻き寿司はやま弥が発祥」とのことでした。ホンマかいな。

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あと、これはレポするときに絶対に書こうと思っていたことなんですが、店頭のずら丸パネルは営業時間が終わると玄関内にしまわれます。 で、やま弥さんは宿泊用のお部屋から食事処やお風呂に行くときには必ず玄関を通る構造になっています。すると何が起こるか。

お風呂に行こうと思うと玄関にずら丸が居ます。 お風呂から上がって部屋に戻るときもずら丸が居ます。 朝起きて朝ごはんを食べに行くとずら丸が居ます。

やま弥さんは、誤解を恐れずに書くと、「超絶美少女の看板娘が居るお宿」を体験できる場所と言えるでしょう。

たとえば、わたしがサンシャイン世界線の内浦に住んでいたとしたら、中学時代、花丸ちゃんと同じクラスで、あんまり直接話す機会もなくて、だけれどもなんとなくあの子のことが気になっていて、たまに笑顔で挨拶してくれるとそれだけで一日上の空になってしまったりして・・・という感じだったと思うんですが、そんな気分を少し味わうことができます。

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ご飯を食べるときに女将さんから地元ならではのお話を色々聞くことができたので、そのあたりTwitterに書いたものをこちらにも載せておこうと思います。

結論として、これだけの体験ができて9,000円ほど(手巻き寿司コース含む)で済むって脅威のコスパだと思いました。 今回の巡礼が素敵な思い出になったのも、やま弥さんで泊まったことが大きいと思います。

D. 浜の家さん

やま弥さんをチェックアウトしてから、あわしまマリンパークで遊んだあと、お昼どきに浜の家さんに行きました。

等身大パネルシャイニー

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他のお宿もハシゴする予定だったので、お店には申し訳ないながらも、1人1ピース分の1,000円を目安に、エビのお刺身とさざえの壺焼きをいただきました。

例のビーチを間近に眺めながら気軽に海鮮料理がいただけるのは恐らくここだけだと思います。

B. とさわや旅館さん

続いてとさわや旅館さんへ。 等身大パネル善子

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食事は鯵のたたき定食をいただきました。それだけだと2ピース分の2,000円に届かなかったので、お店のお姉さんに相談しつつ、いくつか一品料理も注文しました。 たたき定食の鯵ですが、目の前でヒレがピクピクするレベルの鮮度なので、普通にビビります。 命の大切さに思いを馳せないわけではありませんが、まあ美味しさには勝てませんね。

パズルラリーのお客さん向けにヨハネをイメージしたシーフードカレーなどもありました。 選択肢に迷ったらそちらを頼めばいいと思います。

C. 松濤館さん

わたしは今まで、内浦地区でもっとも高級な宿は淡島ホテルだと思っていたんですが、上には上が居ました。

恐らくパズルラリーという企画がなければ足を踏み入れることも許されなかったであろう高級旅館、松濤館さんダイヤさん等身大パネルも、立派な壺と同じ並びにあるせいか、旧家のお嬢様としての確かな存在感を放っています。

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1,000円ちょうどで決め打ちのデザート・ドリンクがゴージャスなロビーで食べられる仕組みになっていて、オタクが悩む余地は一切ありません。 他のお店での食事のあとに、デザートを食べるつもりで伺うのがいいでしょう。

A. 安田屋旅館さん

ラストはこちら、安田屋旅館さん。 「太宰治ゆかりの宿」というキャッチコピーとラブライブ!グッズだらけのラウンジが奇妙なバランスで両立する、内浦随一の歴史のある旅館さんでもあります。

等身大パネルは屋内にありました。 千歌ちゃんと梨子ちゃんのコンビ。 曜ちゃんは・・・アレ・・・? 幼馴染とは・・・?

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1,000円で入浴ができるので、それに加えてラブライブ!コラボのタオルやお土産を購入し、2ピース分の2,000円を達成するのがいいでしょう。 個人的には、淡島神社の昇り降りなどで汗をかいたら、ここで入浴して帰る、というのが内浦観光における定番の流れになっています。

古きよきMicrosoft Wordで作られたと思われる、地元の小学生による観光紹介冊子があります。 最近はすっかり珍しくなってしまったワードアートらしいワードアートの乱舞に心が踊りますね。

ゴール. 三の浦観光案内所

最後に、三の浦観光案内所で認定証をもらいます。

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ローカルニュースで取り上げられた際に「一見アニメショップのように見えますが・・・」と紹介されてしまうほどにラブライブ!のラッピングまみれですが、ここが目的地の観光案内所で間違いありません。 おばちゃんが達筆でオタクの名前を認定証に記入してくださいます。

受付時間は16時まで(電話したら17時までOKのときもあるようですが)なので、うっかり認定証をもらえないまま帰る羽目になってしまわないよう、すべてのお宿を回ったあと、案内所に寄るだけの余裕を確保しておきましょう!

おわりに

そんなわけで、わたしがパズルラリーをコンプしたときの大まかな流れを紹介してみました。

わたしの場合は自家用車で回りましたが、公共交通機関を利用する場合でも、しっかりと計画を立てれば決して不可能な日程ではないでしょう。 とはいえ、変に無理して慌ただしい日程をこなすよりは、冒頭に書いたように、宿泊を挟んで食事や観光を楽しみながら回るのが理想だと思っています。 リーズナブルに海鮮を死ぬほど食べられる沼津は最高

少し真面目な話をすると、自分を含め、μ'sの物語があんなにもたくさんの人々に受け入れられたのは、昔から秋葉原に通っている人たちにとって、彼女たちの活躍する舞台が身近な町並みの中にあったからなんじゃないかと思っています。 それを踏まえると、ラブライブ!サンシャイン!!の ―― Aqoursの物語をより深く理解しようと願うならば、やはりその舞台である沼津や内浦地区のロケーションに慣れ親しむことは必要不可欠なんじゃないかと思うのです。

Aqoursの9人が「助けて!ラブライブ!と叫んだ内浦の砂浜のことだったり、黒澤ダイヤが自分の歌がよりたくさんの人々に届くようにと願った沼津の砂浜のことだったり、長井崎中学に向かう長い上り坂のことだったり、長井崎中学の丘の上から見える内浦の町並みだったり、彼女たちが帰り道にアイスを買うだろうセブンイレブンのことだったり・・・

南ことりが、秋葉原のことをWonder zoneと呼んだように、Aqoursの9人にとっても沼津や内浦という土地は、他に代えようのない大事な場所に違いないから。 サンシャイン!!のファンにとって、沼津や内浦が同じくらい大事な場所になって欲しいし、それが昔から内浦に住む人々にとっても喜ばしいことであってほしいと願っています。

わたしからは以上となります。

・・・

ラブライブ! Advent Calendar 2016 - Adventarの2日目はamadamu333の担当です。 よろしくお願いします!

マジカルミライ武道館〜里帰りしてみた感想〜

挨拶

だいたい初音ミクのことは知っている人が多いと思うんですが,初音ミクの「ライブ」があることはご存じですか?どういうものかというと,スクリーンに初音ミクやそのお友達の鏡音さんや巡音さんたちの映像を投影しながら,生バンドによりCGM*1文化の中で培われてきた楽曲の数々を演奏し,オタクはそのステージに対して熱狂する――という感じのものです。

わたしは最近でこそラブライブ!のハナシばかりしていますけれども,元々ボカロ曲をよく聞いていた時期がありました。今でこそ抵抗なくクラブ系のイベントにも行きますが,そういったイベントに参加するようになったキッカケもまたボカロでした。2009年のミクFES(ボカロPが新木場COASTでDJやライブをするというイベント)をニコ生で観覧したのが最初で,その年の年末に渋谷クワトロのクラブイベントに初めて客として参加して,それ以降「V_N」という比較的小規模なボカロPによるクラブイベントに通ったりとか,2011年のミクパに参加したりとかしていました。ボカロ関連のそこそこの規模のイベントだと,いちばん最後に参加したのは2013年にベルサール秋葉原で開催された「夏祭初音鑑」じゃないかと思います。それ以降どのあたりのジャンルに居たかはこの記事この記事を読んでいただくとして。

この記事では,ボカロ厨から声優オタクを経由した結果,改めてボカロのライブというものがどういう風に見えたのか?ということを先日のマジカルミライ公演に参加した経験を踏まえ書きたいと思います。

先入観

やっぱりボカロのライブってメインは映像として投影されたキャラクターだと思うんです。生バンドが居るっていうことは大事な要素ではあるけれども,バンドだけだったらそのバンドやシンガーがメインのカバーコンサートということになってしまいますから,ボカロのライブがボカロのライブであるために唯一必要な要素が,ど真ん中にあるあの透過スクリーンだと思うんですね。だから客は他の誰でもなく初音ミク鏡音リン・レン巡音ルカに向かってサイリウムを振るワケです。

そうした風景を俯瞰したときに,覚えてしまう違和感って誰でもゼロにはならないと思います。要はどれだけその空気に飲まれることができるか,自分を洗脳していけるか,ということが大事なのであって。特にわたしの場合,今いちばん追いかけているコンテンツでいったらラブライブ!やそのキャストさんということになりますから,「映像に向かってサイリウムを振ってもねー」みたいな先入観は正直に言うとありました。また,ボカロコンテンツを追いかけることをやめてからしばらく時間が経っていることもあり,たぶん知らない曲ばっかりなんだろうな,という気持ちもありました。

ライブ後の様子

これに関しては,ライブ当日のツイートを引用したほうが臨場感が伝わると思いますので,そのまま載せます。


だいたい自分と同じような境遇のYasuさんという方と一緒に参加したんですが,途中から感極まるポイントが完全に同じで,傍から見たらだいぶ気持ち悪かったと思います。

セトリに関してはこちらの記事を見て欲しいんですが*2,前半は知らない曲が多かったのでたぶん最近のDIVAとかの曲なんでしょう。問題は後半です。「エンヴィキャットウォーク」のあたりからもう刺さる曲しか無い。賑やかな曲ばかりかと思ったら「glow」とか入るしね,もう楽しいし感情を揺さぶられますよね。セトリの力で完全にマインドをコントロールされたオタクが最終的にどうなってしまったのか――それは上のツイートを読めば分かるとおりです。

今後どんな音楽を聞こうが,どんなライブに行こうが,わたしにとっておそらく変わらないであろうことがひとつあります。それは,18〜22歳くらいの時期に聞いたボカロ曲が完全にコンテキストとして自身の脳裏に刷り込まれているということで,そのあたりの曲を大音量で聞いたらどうやったって高まってしまうということです。日本武道館という場所で,「ODDS&ENDS」や「ハジメテノオト」を聞いたらこみ上げてしまうものがどうしようもなくある。

ボカロが歌うことの意味

これは先ほど紹介したYasuさんの受け売りなんですが,「Hand in Hand」という曲を初音ミクが歌うことに意味があるのだと。


誰かと誰かが手を繋ぐことの意味を,人類ではなくVOCALOIDが歌うからこそ,変に説教くさくならないまま説得力を宿らせることができる。それってなんだかSFですよね。

「ハジメテノオト」にせよ「ODDS&ENDS」にせよ「Innocence」にせよ,それまでボカロが歌うテーマソングはどうしても自己言及的なものにならざるを得ませんでした。ボカロという存在が単に目新しかったから,という部分もありますし,ボカロを取り囲むファン層やアンチ層の意見がそういった曲を生み出した,という部分もありました。だからこそ,人間と同じように単に女の子の心情を歌わせてもいいんだ,という今となっては当たり前の気付きを与えた「メルト」は衝撃的でした。

「Hand in Hand」は,そんなボカロが人類とは別の立場から人と人の関係について言及する曲だと思います。そして他でもない「Hand in Hand」が今回のマジカルミライのテーマソングであることに,何かしらのメッセージ性を感じずにはいられませんでした。

広がる世界

一方で,わたしみたいな人間が「ライブが楽しかった」という感想を述べたとして,それだけでいいのか?という疑問もあります。最近の曲を知らない人間が楽しめたということは,それだけ古い曲が多かったということでもありますし,古い曲がライブの後半に集中しているのは,コンテンツの 新陳代謝という観点から言うと不健全なようにも思われます。ライブ前に今回のマジカルミライのコンピレーション盤を見たときにまず感じたのも,「知っているPの曲が多すぎる」ということでした。

果たして最近のボカロファンの方々はあのセトリに満足できたのでしょうか?ボカロが歌うヒット曲は今も次々生まれてきているのでしょうか?コンテンツが継続していくためには,ある意味では古参を切り捨てるようなアップデートをすることも大事なんじゃないか,と思ったりもします。

視点を変えると,以前ボカロPとして楽曲を制作していた方が,アニソン業界その他で活躍されている状況があります。「メルト」のryo氏はアニソンアーティストへの楽曲提供をしていたり,生身のボーカリストと共にユニットとして活動していたりします。「Packaged」のkz(livetune)氏も同様に,ClariS他への楽曲提供をしていたり,海外のEDMアーティストのZeddとコラボしていたりします。他にもゆうゆさんによる「花雪」,Junkyさんによる「とまどい→レシピ」,ふわりPによる「せーのっ」,Honeyworksさんによる「世界は恋に落ちている」など。楽曲提供としてボカロPが数多く参加する「Tokyo 7th シスターズ」「ひなビタ」などのプロジェクトも増えてきました。

この視点においては,ボカロから始まった世界は確実に広がっている,という言い方も出来なくはないでしょう。

また,わたしが改めてマジカルミライの武道館公演に参加して感じたのは,ライブ慣れしていないお客さんが多いということでした。ライブ慣れしている人間にとってはむず痒い空気かもしれませんが,これはスゴイことでもあります。マジカルミライというイベントが,もともとライブに行かなかった層の人間を武道館規模で集めているということですから。

それだけ人を集めることの出来るコンテンツがオワコン」ということは少なくとも無いんじゃないかと思っています。わたしからは以上です。

*1:Consumer Generated Media。消費者が内容を生成していくメディアのこと

*2:セトリは全公演同じでした。まあ映像や音楽の準備があるから仕組み上しかたがないよね

なぜ「ラブライブ!」なのか?〜あるいは劇場版・ファンミ・舞台挨拶を踏まえての感想

(注:若干の劇場版ネタバレを核心に触れない程度に含みます。)

挨拶

「μ's Fan Meeting Tour 2015 〜あなたの街でラブライブ!〜」(略してファンミ)全10会場25公演が終了しました。公演はいずれもトークパートとライブパートから構成され,トークパートではこれまでのライブでは深く聞くことが出来なかったキャスト陣の素に近いトークを生で聞くことが出来,またライブパートでは,過去のライブでしか披露されていなかった“レア”な曲の再演*1があったりと,まさにラブライブ!ファンにとっては掛け替えのない公演の数々でした。ファンミ期間中に劇場版の公開があったこともあり,ファンミの前後には全国各地で舞台挨拶も行われました。

わたしは地方を含めその内いくつかの公演・舞台挨拶*2に参加させていただきましたが,その詳細を書き始めるとこの記事の主題とは外れてしまうのでまた別の機会に……。

この記事の趣旨

なぜ『ラブライブ!』なのか?」と題しましたが,この疑問はわたしがここしばらく抱いていたわだかまりの核心にあるものでした。もともと家から出るのも億劫だったわたしが,アニメも最初の3エピソードくらいで投げ出してしまうことが多かったわたしが,ラブライブ!に限りここまでハマってしまった理由はなんなのか。新幹線や飛行機に乗ってまでμ's演じるキャストの皆さんのイベントに行きたいと思うそのキッカケはどこにあったのか。

ロゴだけで言ったら「アイドルマスター」や「ナナシス」の方がカッコイイじゃないか,と思うことがあります。絵柄だけで言ったら「デレマス」の方がよっぽどイマドキの売れ線じゃないか,と思うことがあります。楽曲だけで言えば「アイカツ!」の方が好きなんじゃないか?と思っちゃうこともあります。

いや,ディスりたいわけじゃないです。事実ラブライブ!は好きです。

しかし,実際ラブライブ!をそこまで知らない人に「なんで好きなの?」と聞かれたときに,ラブライブ!で無ければならない理由を客観的に説明するだけの結論が,自身の中で見つけられていないことに気づいてしまったのです。

個々の要素で言えば,2次元アイドルモノに限ったとしても,優れた作品がいっぱいあります。その中でわたしが楽しさを見出した作品がなぜラブライブ!だったのか?その原因をタイミングや偶然に求めることは簡単です。事実,わたしが初めて本格的に触れた2次元アイドルモノの作品はラブライブ!でしたし,そもそものキッカケはアニクラ*3で曲(僕らは今の中で)を聞いたから――程度のことでしたし,それを偶然と言ってしまえばそうなのだろうと思います。

でも,わたしは,そこに何らかの偶然以外の理由を見出したい。あわよくば,世間一般にありがちな「スクールアイドルモノ」「女の子が歌って踊る」「声優がPVと同じダンスをライブで披露する」以上の説明を提供できたらいい。そんな自己満足的な気持ちでこの記事を書き出しています。

ラブライブ!が持つ特殊性

以前ラブライブ!が他のアイドルモノと比べてどう違うのか?を説明するために,アイドルモノに共通するいくつかの性質を並べ,その差異によりラブライブ!の特殊性を明らかにしようという試みをしました。


その一例を並べると次のようになります。

  • ユニット人数 - 9人
  • 曲数 - 約100曲
  • 男キャラの有無 - ほぼ無し
  • 主な舞台 - 女子校(アイドルモノ×学園モノ
  • 曲ジャンル - 様々な年代のJ-POPの要素

特に際立っているのは,学園モノであることと,作品中から念入りに男性の存在を消し去っていることでしょう。特に後者はある意味病的とも言える徹底ぶりで,アニメ内には男オタクという存在は登場しませんし,矢澤にこの兄弟を除き,台詞のある男キャラも存在しません。主人公である高坂穂乃果の父でさえ,顔が画面内に映ることは絶対にありません。

この点に関しては,他のアイドルモノにはないラブライブ!唯一の特徴であると言えるでしょう。アイドルマスターには男オタクもプロデューサーも登場しますし,同じ学園モノの要素を持っているアイカツ!に関しても,男キャラクターは普通に登場します。

しかしながら,それだけでラブライブ!の人気の理由を説明できるかと言えば,答えはNOだと思います。何故か?男が出ないアニメを見たいなら「ゆるゆり」なり「ごちうさ」なり「のんのんびより」なりを見ればいいからです。最近は萌え系アニメもガンガンキャラソンを出しますしライブイベントもやりますからね。

ライブイベントに関して言うと,ラブライブ!だとPVと全く同じダンスステージを声優が演る,という点がよくフィーチャーされます。事実,キャストさんが長い時間を掛けて体力を消耗しながら準備されていることもあり,ライブステージには一言では言い表せない魅力があると思います。ライブステージの背後に(PVのある曲であれば)必ずPVが写されるのも珍しいポイントですね。しかし,それに近い演出がアイドルマスターでもなされていることを考えると,ラブライブ!唯一の特徴であるとは言い切れないところもあるかと思います。

体育会系と全体主義

ラブライブ!は基本的に体育会系コンテンツです。アイカツ!みたいにアイドルが崖のぼりをやらかすことこそありませんが,毎日集合してダンスレッスンをする様子は体育会系の部活そのものですし,全国大会を目指して合宿したり,ときに体を壊したり,メンバーが脱退しかけたり――というのは,スポーツをテーマにした作品の王道展開そのものですよね。

成長があり,挫折があり,挫折からの復活があり,悲願の全国大会での優勝があり,そして世代交代へ――という流れは,野球漫画やサッカー漫画で描写される体育会系の部活以外の何物でもありません。

そしてもうひとつ,ラブライブ!が体育会系であることの証左として現れるのが,物語の節々に現れる「全体主義」的な要素です。アニメ2期の中で「もう全部伝わってる。もう気持ちはひとつだよ」という台詞がありますが,こういった発言も,少し意地悪な言い方をすれば,全体主義的な要素をはらんでいると思います。

アニメ1期や2期の中では「全体」が9人のユニットだったため,そこまで癖のある演出には思われませんでしたが,劇場版で何百人もいるキャラクターたちが同じ台詞を異口同音に叫ぶシーンに,ほんの少し違和感を覚えた人はそこそこ居るんじゃないでしょうか?

わたしは以前こんなツイートをしました。


実際意味がわからないと思うんです。

オタクになるような人って昔ながらの固定概念で言えば,友達が少ない・薄暗い青春を送ってきた人だと思いますし,そういう人って体育会系とか全体主義とか嫌いな人が多いと思うんです。最近の武装されるラブライバーの方を見ているとそうでもないのかな?と思うときもありますが,少なくともわたしはそうです。

なのに,ラブライブ!が好きっていうのは自己矛盾していませんか?

一方で,新田恵海さんが舞台挨拶でこんな発言をされていました(メモなしで記憶で書いているため,だいぶ意訳が含まれている点にご留意ください)。

わたしは、劇中の彼女たちを見ながら、自分が青春時代に夢を追い掛けていたこととかを思い出します

久保ユリカさんは次のように発言されていました(同じく意訳を含みます)。

わたしには青春時代なんて言えるものはなかったし、(略)でも、ラブライブっていう作品は、そんなわたしでもまるで青春を体験したような気持ちにさせてくれる

これはわたしの勝手な解釈ですが,キラキラした青春を送ってきた人にとっては,ラブライブ!青春追体験装置として機能している一方で,いわゆる青春っぽい日々を送ることが出来なかった人にとっては,ラブライブ!青春仮想体験装置として機能しているのではないでしょうか。

そしてその根底にあるのは,「利害関係を越えた仲間と一緒に,ひとつの目標に向かって努力する学生時代」という,フィクションにおいてはありがちな,しかし現実においては早々存在し得ないステロタイプな“青春”への憧れだと思うのです。

意識的か無意識的かに関わらず,ラブライブ!は見る者が潜在的に持っているキラキラした学生時代への憧れを励起しているようにわたしには思われてなりません。更に,学園モノという舞台装置や丁寧な心理描写,そして何よりもライブシーンとして描かれる挿入歌の数々が,物語をより魅力的に見せ,視聴者が作品世界に没入するハードルを下げているのです。

野暮ったさがもたらすモノ

アイドルマスター」や「ナナシス」のロゴワークがとても洗練されている一方で,主観的ながら「ラブライブ!」のロゴには若干の野暮ったさ(ダサさと言い換えてもいい)を感じてしまいます(下図)。

http://www.lovelive-anime.jp/img/lovelive.png

野暮ったさは,曲の歌詞などにもよく表れています。たとえば,ナンバリングシングル6枚目の「Music S.T.A.R.T!!」には次のような歌詞(というかコールの類)があります。

La la la LoveLive!

もしかしなくてもめっちゃダサくないですか!!もうひとつ,2期オープニング曲の「それは僕たちの奇跡」の間奏部分に入る歌詞も挙げてみます。

Hi! Hi! 最後まで駆け抜けるよ

同様の合いの手が挿入歌の「Ki-Ra Ki-Ra Sensation!」にもあります。

Hi! Hi! 夢は夢は終わらない

ララララブライブ!ほどではないものの,やっぱりストレートすぎてダサい気がします。曲調的な面で言えば,作品内ユニットである「lily white」の曲とかはイントロの時点で笑ってしまうようなコテコテの昭和テイストの曲ばかりで,やっぱり「お洒落」「クール」などの形容詞からはほど遠い印象があります。

誤解が無いように書いておくと,別にラブライブ!にもお洒落系の曲はあります。個人的にダントツなのは「冬がくれた予感」で,これはもう「矢澤にこのラップパートがなければ単なるJ-POPじゃない?」と言いたくなるくらいのクール曲です。


ともかくここで言いたいのは,ロゴにせよ曲調にせよストーリーの展開にせよ,どこか垢抜けていない,競合作品と比べても野暮ったく感じてしまうようなポイントがラブライブ!には数多くあるということです。台詞の語尾に「ニャ」が付いたり「ニコ」が付いたりするのも00年代かよ!と突っ込みたくなるような時代錯誤っぷりです。

しかし裏を返せば,これは武器でもあります。ロゴイメージの一貫性。王道のストーリー。これ以上無く分かりやすい歌詞。コールしたときの盛り上がり。キャラクターの印象の強さ。どの要素をとってみても,パッと見で洗練されていない代わりに,記憶に残る力強さがあるとは思いませんか?

「Music S.T.A.R.T!!」に関しては特に分かりやすいのですが,これはライブでコールする楽しさを最大化するためのギミックだと言えるでしょう。楽しくコールさせられるなら歌詞がどんなにダサくなっても構わないという割り切りなわけですね。

アニメ2期の挿入歌に関しては,「Music S.T.A.R.T!!」とは若干異なる目的があるように思います。これらはおそらく,「スクールアイドルとしてのμ'sの終焉」というテーマを歌詞の中で強く印象付け,アニメ本編と曲をリンクさせることを目的としているのでしょう。先ほど例に挙げた「それは僕たちの奇跡」「Ki-Ra Ki-Ra Sensation!」の歌詞は特に強烈で,個人差はあるにせよ,たとえば5thライブのような大きなイベントで生で聞いたならば思わず涙ぐんでしまうような剥き出しのメッセージ性を放っています。

ラブライブ!とは分かりやすさと高まり,メッセージ性などを重視した結果,めちゃくちゃダサくなってしまったコンテンツ――という言い方もできるかもしれません。また,劇中の彼女たちがあくまでも高校生で,アマチュアのアイドルであるからこそ,ある種の野暮ったさ――手作り感と言い換えてもいい――が作品の端々から感じられる必要があるのだと理解することもできるでしょう。

コンテキスト厨

舞台挨拶でキャストさんが何回か,「劇場版におけるμ'sの人気が急激に上昇していく様子が,現実のラブライブ!人気の上昇具合と重なるようだ」という趣旨のことをおっしゃっています。アニメ中のμ'sは,元々ファンがひとりも居なかったところからスタートし,2期の後半では全国大会であるラブライブで優勝するまでになります。そのストーリーは,現実でμ'sのキャスト9人に起こったことをほぼそのままアニメ化したものであるとも言えるわけです。

現実のμ'sに起こったことがフィクションの中のμ'sに起こり,逆にフィクションの中のμ'sに起こったことが現実のμ'sにも起こるという相互作用がそこにはあります。

思えば,アニメ1期で1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」のPVがリメイクされたり,またアニメ2期で2ndシングル「Snow halation」のPVが同様にリメイクされ物語の中に組み込まれていったことは,アニメ化前の当時にシングルを購入し,長く応援し続けてきたファンへのご褒美のようでもありました。

アニメ2期,そして劇場版へ――という流れの中で,フィクションと現実のリンク度合いは更に増してきており,いよいよアニメ抜きで語ることも,現実のイベント抜きで語ることも出来ないような,そういうコンテンツへとラブライブ!は向かってきているように思われます。

これは完全にネタバレになってしまうため具体的には書けませんが,劇場版の中でμ'sに投げかけられた疑問が,現実のラブライブ!プロジェクトやキャスト9人に対して投げかけられている疑問と全く同じであることからも,ある意味アニメスタッフは確信犯(誤用)的にアニメのストーリーを現実に寄せてきていることが分かります。

劇場版を踏まえ,果たして現実のμ'sがどのような回答を導き出すのか。ファンミーティングツアーでそれに対する回答はありませんでしたが,おそらくはそう遠くない頃に明らかになるでしょう。

おわりに

「なぜラブライブ!なのか?」という疑問に答えるには,単に他作品と比較するだけでは物足りない,という考察を踏まえ,「青春仮想体験装置としてのラブライブ!」「洗練よりも高まり重視のコンテンツ」「現実とフィクションのリンク」という3つの視点からその魅力を言語化しようとしました。今回言及した3つの特徴が必ずしもラブライブ!だけに当てはまるとは思いませんが,これまで脳内でモヤモヤしていたラブライブ!ラブライブ!たる所以の一端を言語化することには成功したように思います。

結局のところ,ラブライブ!がこれだけの人気を得た理由は一言では書き表すことができないのだろうと思います。ストーリーが人々の青春への羨望を思い出させるから。女の子がカワイイから。洗練よりも高まりに振り切っているから。5年間のコンテキストがあるから。曲のクオリティが高いから。ライブをやってくれるから。その内いくつかは意識的に特徴づけられた要素なのだろうと思いますし,その内いくつかはまったくの偶然で成り立ったものなのでしょう。でも,そのすべての要素があったからこそ,この現状があるのだと思うのです。

6thライブの開催時期や場所もまだ明らかになっていない現状ではありますが,とりあえずはアニサマにおけるμ'sの出演を心待ちにしつつ,各キャストのソロ活動を出来る範囲で応援していけたら,と思う今日このごろです。なお,ラブライブ!東條希を演じる楠田亜衣奈さんのファーストソロミニアルバム「First Sweet Wave」はVAPさんより10月7日水曜日の発売となっております。よろしくお願いいたします。

*1:「愛は太陽じゃない?」「純愛レンズ」「ありふれた悲しみの果て」「硝子の花園」「Someday of my life」「私たちは未来の花」「ぶる〜べりぃとれいん」「after school NAVIGATORS」「Listen to my heart」「もうひとりじゃないよ」「くるりんミラクル」「にこぷり♡女子道」「なわとび」「Mermaid festa vol.2 〜Passionate」など

*2:結局全10会場中9会場には行きました

*3:アニソンオンリークラブイベント。特にライブはなく,DJがアニソンを多めに掛けるオルスタのイベント

Docker入門した顛末を共有しました

id:amutake を中心に専攻の同期メンバーや他東工大の人々と開催している #w8lt というLT会があります。だいたい毎月末水曜に行われる,なるべく敷居を低くしつつそれぞれ好きなテーマでトークしましょう,という感じのユルい催しです。

わたしはこれまでの開催時にはだいたいラブライブ!のハナシや声優さんのハナシをしていたのですが,ふと自分が計算工学専攻所属であることを思い出したため今回はDocker入門したときの体験談をプレゼンしました。

資料はこちら。

このエントリでは,スライド中では伝わりづらかったり,書ききれなかったことなどを少し補足しようと思います。

Docker運用化の費用対効果

スライド中にもある通り,VPSの移行をする過程で「どうせなら管理しやすい形にしよう」というモチベーションからDocker運用への切り替え作業を行いました。元々 tondol.com ではいくつかのサブドメインを使い,複数のウェブアプリやTwitter BOTなどを運用していましたが,それらをサブドメイン単位でコンテナ化することにしました。

実際には,各アプリのコンテナだけでなく,MySQLを単独のコンテナに分離してみたり,httpリクエストを各アプリのコンテナにproxyするためのnginx単独のコンテナを作ったりしました。また,各アプリのデータを保存するためのデータボリュームコンテナも作成しました。

各コンテナのDockerfileを書く作業はなかなかに大変でした。アプリの改修が必要になったり,依存しているライブラリやコマンドを洗い出す作業が発生したりしたため,結果少なくない時間をDockerfileの作成に費しました。余暇の時間を使い,執念深く1日1コンテナずつくらいのノリでやっていきました。

そうして得られたメリットは,今のところ「環境がコード化されている安心感」「移行が簡単になった」「結果的にアプリの構成が整理された」くらいのものでしょう。各アプリの負荷も僅かなものですから,今後サーバー台数をスケールさせる予定もありません。実用的な面で考えるならば,趣味で運用しているような小規模なサーバーの運用をDocker化する意味はそれほど無いかもしれません。

しかしながら,Dockerが要求するイミュータブル性は,結果的にアプリケーションの構成を綺麗に矯正してくれますし,今回の作業を通じてInfrastructure as Codeという概念への理解を深めることができたのは悪くない成果であると感じました。

複数のプロセスをコンテナ内で起動する

DockerコンテナでCMDやENTRYPOINTは1つのコマンドを実行するだけの機能しか持ちません。どうやら思想的に,1コンテナ1プロセスであるべきだ,というポリシーがあるようです。しかしながら,1つのアプリを動かすにもnginxとphp-fpmとcrondくらいは必要だったりするので,今回はそこにはこだわらずアプリ単位で必要になるプロセス(デーモン)を1コンテナ内に詰め込みました(MySQLやデータボリュームのみ外出しする)。

Dockerコンテナ内で複数のデーモンを動かすにはなんらかの工夫が必要ですが,今回はSupervisorというプロセス管理のためのツールを利用しました。コンテナにSupervisorをインストールし,次のような設定ファイルを作ります。

[supervisord]
nodaemon=true

[program:sshd]
command=/usr/sbin/sshd -D
autostart=true
autorestart=true

[program:nginx]
command=/usr/sbin/nginx -c /etc/nginx/nginx.conf -g "daemon off;"
autostart=true

[program:php-fpm]
# 設定ファイルを書き換えた後にphp-fpmを起動するスクリプト
command=/home/foo/php-fpm.sh
autostart=true

[program:crond]
command=/usr/sbin/crond -n
autostart=true

上記の設定ファイルをADDでコンテナにコピーし,CMD/ENTRYPOINTからSupervisorを実行するようにします。各プロセスはデーモンではなくフォアグラウンドで実行する必要がある点に注意しましょう。詳しくは公式のドキュメント「Using Supervisor with Docker」をご覧ください。

コンテナ間のリンクを設定ファイルに反映する

Dockerにはコンテナの実行時にリンクするコンテナを指定する機能があります。このリンクはコンテナの実行時に行われるため,たとえばnginxの設定ファイルに予め参照先のホスト名・ポートを書き込んでおくことはできません。これを解決するには,設定ファイル内にたとえば「FOO_HOST:FOO_PORT」のような文字列を埋め込んでおき,コンテナの実行後にシェルスクリプト等で文字列を実際のホスト名・ポートで置き換えてやるしかありません。

……と思っていたんですが,よく考えると /etc/hosts にもリンク先のホスト名・ポート情報が書き込まれるんだからそれを使うだけでいいっぽいですね。よく出来ていますね。それに気づかないまま下記のようなシェルスクリプトを用意していました。

#!/bin/sh

MYSQL_HOST=$MYSQL_PORT_3306_TCP_ADDR
MYSQL_PORT=$MYSQL_PORT_3306_TCP_PORT

sed -i -e"s/__HOST__/$MYSQL_HOST/" /home/foo/www/config.yml
sed -i -e"s/__PORT__/$MYSQL_PORT/" /home/foo/www/config.yml
sed -i -e"s/__USER__/$MYSQL_USER/" /home/foo/www/config.yml
sed -i -e"s/__PASSWORD__/$MYSQL_PASSWORD/" /home/foo/www/config.yml

...

/usr/sbin/php-fpm --nodaemonize

まあこれでも動かないことはありません。ソイヤ。

docker-compose

docker公式が出しているcomposeというツールがあります(昔はサードパーティー製だったらしい)。これを使うと「データコンテナをボリュームを指定しつつ起動して,DBコンテナを起動して,アプリコンテナにデータコンテナとDBコンテナをリンクしつつ起動して,あ,あと環境変数もオプションで与えなきゃ……」みたいな複数のコンテナが絡み合うコンテナの起動を自動化することが出来ます。

インストールは公式が提供するバイナリ(pythonスクリプトをバイナリ化しているらしい)を適当なディレクトリに置くだけ。起動するコンテナに与えるオプション等は単純なYAMLファイルで記述します。便利。使いましょう。

質疑応答のメモ

わたし「ログの扱いがよくわからん」
id:dtan4「とりあえず標準出力に吐くようにしたらdocker logで見れるやん。logspoutっつーコンテナを使うと便利やん?」
わたし「ヒョエー」
わたし「死活管理どうやるの」
id:dtan4「datadogっつーのを使うといいやん?」
わたし「アッアッ(ありがとう)」

積年の疑問が3分で氷解していくあたり,D端子さんは強いと思いました。LTしてよかったと思いました。

想定問答

  • Q: どうしてdocker execを使わないの?
  • A: あとから存在を知りました……なるほど便利そう。
  • Q: DockerHubは使わないの?
  • A: 今回は特に必要性を感じなかったため使っていません。 ここが便利だよ!というのがあれば教えていただけたら感謝します。

終わりに

習うより慣れろ is 大事。

どうでもいいんですが,ConoHa運営から毎日くらいの頻度で障害メールが来るため不安があります。今週末のμ's Fan Meeting Tour 2015 長野公演を大変楽しみにしています。

その他リンク

ラスト2個の記事は,スライド中の図を書くにあたり参考にしました。お世話になりました。