沼津移住から2年経ったので実際どうなん的なブログ
2021年の9月21日に沼津市民になりまして、気づけば2年と3ヶ月ばかり経っておりました。 特に節目でもなんでもないタイミングなんですが、まぁ年末だしってことで現状の感想やら知見やらを書いていきたいと思います。
前提
どういう立場からの意見なのか疑問に思われることもありそうなので、簡単に自分のパーソナリティを書いておきます。
- 沼津に引っ越してくる前は都民(豊島区民)
- 出身は埼玉で、実家も埼玉
- コロナ禍以降は都内の会社にリモート勤務中
- 独身of独身
- 詳しい引っ越しの経緯は ありがとう池袋、こんにちは沼津 - FLYING を参照
以上を踏まえ、ここからは仮想インタビュアーによる一問一答形式で進めます。
Q. 沼津に移住して今も楽しいか? 首都圏に戻る予定はあるか?
A. 楽しいし、今のところは沼津に住み続けるつもり
沼津に住みたいと思って引っ越してきたら、最初は楽しいのは当たり前ですよね。 地方移住しました!という話はインターネットでもちょこちょこ見るし、その場合は新しいことを始めるキラキラした気持ちで文章を書いていると思うので、この記事では2年経ってからのリアルを伝えたいなと思います。
ぶっちゃけ沼津という土地に対する新鮮味はさすがに薄れてきています。 東京から沼津にちょこちょこ遊びに来ていたときは、駅を降りた瞬間から「来たぞ〜!」というテンションの高まりみたいなものがありましたが、毎日暮らしているので正直その辺はなくなりました。
ただ、全くゼロになったかというとそうでもなくて、ラッピングのバスやタクシーを見るとなんとなく微笑ましい気持ちになるし、晴れた日の狩野川沿いは歩いていて気持ちがいいと今でも感じられます。
また、内浦地区(沼津市南方の車で20〜30分かかるエリア)方面はめちゃくちゃ頻繁に行けるわけでもないので、晴れた週末とかに行くと「やっぱり海綺麗すぎるな」と新鮮に思えたりします。
やま弥さんの鯛丼も未だにバカおいしいと思う。
Q. 都内と比較してライフスタイルの変化はあるか?
A. あるが、意外と変わっていないとも言える
いちばん大きいのは自分の車を持ったことで、市内や周辺への移動のメインが自家用車になったことですね。 日常的な買い物やレジャー的な移動もまずは自家用車が選択肢に上がってくるので、電車に乗る頻度は明らかに減りました。
一方、沼津駅周辺に用があるときは散歩がてら徒歩で行くことも多いです。 前述の通り、狩野川沿いあたりを歩くと気持ちいいし。
一度自家用車で移動することに慣れてしまうと、都内生活で一般的な電車+徒歩の移動がまどろっこしく感じられてしまうのも事実です。 朝や終電間際の電車はそもそも混雑で乗るのがしんどいし、真夏は暑いのに人がいっぱいいる空間に閉じ込められなきゃいけないのがしんどいし、真冬は人の熱気で暑いのにコートを脱ぐスペースもない割に空調が暖房なのがしんどいし。
SDGsの真逆を行っている自覚はありつつも、やっぱりドアツードアの移動に慣れてしまうとストレスがなさすぎるんですよね。 というわけで、移動手段という意味ではライフスタイルが大きく変わりました。
一方で、生活の内実を見ていると別に東京に住んでいた頃と変わらないなと思うこともあり。
たとえば、自分は引っ越してきた当初こそ割と自炊していたのですが、だんだん面倒になってきて夜の食事は8割くらいを外食で済ませています。 そうしたときに、夜20時をすぎると外食として選択肢にあがるのは正直チェーン店ばかりになってしまうので、吉野家と松屋とかつやとほっともっとでローテーション……みたいなことになっています*1。
東京でも酒を伴わない食事だと似たようなことにはなりがちなので、そこはある意味変わらない部分かなと思います。 スーパーも普通にマックスバリュとか*2で済ませているので、車で移動していることを除けば東京と変わらないです。
Q. 東京に行く頻度ってどのくらい?
A. 月によるが、多いときは仕事で月1〜2回、プライベートで2〜3回行ったりする
仕事は基本リモートワークではあるものの、ときどき部署ごとにキックオフイベントや飲み会なんかがあったりするので、そういうときは出社して参加したりしています。 これが週に2回とかあるとちょっとしんどくなってきますが、現状半年ごと、もしくはクォーターごとの催しだったりするので、全然大丈夫ですね。
ただ、世間では元々リモートワーク推奨だったものが徐々に出社必須になっていくということもあるみたいなので、いつまでこの生活が続けられるかは未知数。 週1回までなら対応できるかなとは思うのですが、それ以上の頻度になったときは身の振り方を考えることになりそうです。
また、プライベートで言うと東京でのアニメもしくは声優関係のイベントに行くことが多々あるので、そういうときは気軽に上京しています。 交通手段としては1人で行くなら東海道線のグリーン車がいちばん使うことが多く、次点で新幹線や高速バスを使っています。*3 また、何人か知り合いと一緒に行くようなケースなら、安く済むので自家用車に同乗することもあります。
Q. 結構な頻度で東京に行くならもう東京に住んだほうがよくない?
A. その説はある
その説はあるんですよね。
沼津に住むコストを考えたときに、今住んでいる1LDKの家賃と車の維持費用なんかを合わせると東京都心の1Kの家賃とトントン。 そこに東京往復の交通費なんかが乗ってくることを考えると、あれ、実は出費は東京よりも増えているんじゃないか……? とふと冷静になったりします。
ただ、QOLみたいなものを考えると沼津生活の方が上回っている部分もあると思います。 自家用車を無理なく持てることだったり、都内と比べて広い部屋に無理なく住めることが大きなメリットとしてあります。 もちろん、沼津周辺のスポットに車で30分とかで気軽に行けるというのも嬉しいポイントです。
その辺を振り返った結果「出費が増えている説はあるが、赤字になっているわけでもないのでまだ沼津に住みたい」ということになりました。 もちろん前述のメリットをメリットと感じるかは人によると思いますし、メリットに思わない人は東京近辺に住むのがよいのでしょうね。
Q. ひとりで沼津に住んでいたら寂しくないか?
A. 寂しかったが、色々あって解決した
引っ越してきた当初は特に沼津に知り合いがいるわけでもなかったので、正直遊び相手がおらず孤独感がありました。 もし移住と同時に転職して沼津に職場もある人であればこの辺は問題にならないかと思うんですが、リモートワークであることが仇になった部分ですね。 ただ、移住後半年くらいはその寂しさよりも憧れの場所に住めた嬉しさや楽しさが上回っていたので、そこまで深刻な問題としては捉えていませんでした。
そうこうしている内に自分の移住に刺激されたのか、元からの知り合いが2人ほど沼津市内に引っ越してきて、まず一旦寂しい問題は解決しました。 平日夜に仕事終わりから居酒屋で合流するみたいなことができるようになって、これは正直めちゃくちゃ嬉しかった。 そんなことある? と思いますよね? あったんですよね、これが……
ただ、元からの知り合いが近くに住んでいるというのは、今後もそのままであることを期待できない部分もあって、実際知り合いのひとりは会社の事情で東京に1年ほどで戻ることになってしまったし、自分だっていつ何かの事情で沼津に住み続けられなくなるかは分からない。「幻日のヨハネ」から引用するなら『この世界で"変わる"ということだけが永遠に変わらない』んですよね。
じゃあ何を持って「寂しい問題」が緩和されたと思っているかというと、「うみねこ」という沼津移住民コミュニティが立ち上がって、そこの活動に参加するようになったことです。
今のところコミュニティとしての活動は、毎月有志メンバーで飲み会をやったり、地元の花火大会に少額ながら協賛してみたりとか、そのくらいではあるんですが、元からの知り合いだけでなく、沼津という土地を通して知り合った人がいて、その人たちと触れ合えるというのは自分にとって大きな変化だと考えています。
また、東京時代によく会っていたオタクの友達もびっくりするくらい頻繁に沼津や自分の家に遊びに来てくれていて、そういうありがたい縁もあって「寂しい」が理由で東京に戻るということはまだ当分なさそうだなと思っています。
Q. 沼津移住を考えている人を後押しする推しポイントはある?
A. 3つほどある
① まず、車前提ではありますが、観光拠点としての静岡県東部の都合が良すぎるということ。
ラブライブ!サンシャイン!!のファンであれば内浦地区へのアクセスが気になるかと思いますが、実のところ、それ以外にも周辺には観光の目的地となりうる場所が死ぬほどあって、沼津市からのアクセスがめっちゃ便利です。
たとえば、箱根。国道1号で東進すればすぐですね。温泉に入りたいなら伊豆長岡や修善寺。このあたりも沼津市街から30分〜1時間程度で無理なく行けます。伊豆東部の熱海や南部の下田あたりに行くのも、近いというほどではないですが、東京からアクセスするのに比べれば圧倒的に早いです。山梨県まで足を伸ばすなら、山中湖も御殿場あたりを経由すれば1時間程度で到達可能です。しかも、首都圏から来る交通の流れと逆向きになるので、渋滞も回避できることが多いです。*4
静岡・神奈川・山梨の主要な観光エリアに混雑を避けながらそれほど労力をかけずに到達できる。これは自然大好きマンやドライブ大好きマンにとっては大きなメリットです。
② 続いて、よく言われる「人のあたたかさ」が割と本物であること。
「田舎は人があたたかいから」みたいなフレーズ、すげぇ綺麗事っぽいし正直うるせぇよとか思いませんか? わたしも正直そう思う人間だったんですが、沼津近辺でマジで人の親切に助けられるということがありすぎる。
一例としては、
- 山道で側溝にタイヤがハマってしまったときにすれ違った車の人が仲間を呼んでくれ、JAFを呼ぶ前に人力で車を持ち上げて助けてくれた
- 海水浴でメガネを落としてしまったときに近くの人が潜水で拾ってきてくれた
- 電車内で盛大に飲み物をこぼしてしまったときに近くの人が総出で拭くのを手伝ってくれた
などなど。
いや、なかなかそこまでできないでしょというレベルで助けてくれる人がいる。これはマジです。逆に言うと、自分もそういうのを見習って他人を助けられる人間でありてぇともナチュラルに思ったりします。
③ 最後に、有名チェーン店以外の飲食店も意外と充実しているということ。
ライフスタイルについて語ったときに、夜20時をすぎるとチェーン店以外の選択肢があまりないということを書きましたが、逆に言えば、夜遅くならなければそれなりに選択肢があります。また、居酒屋も駅前近辺であれば特に困ることはないです。
例としていくつか挙げます。
言わずとしれたやば珈琲。商店街や市街に用事があるときに立ち寄るのに都合がいい立地です。また、意外と遅くまで営業しているので夜も使えます。ランチを食べるのであれば、平日限定ですが「ランチ弁当」、レギュラーメニューのナポリタンやカレーなどボリュームもありオススメできます。
少し駅から歩いていくには遠いですが、国道414号線沿いの欧蘭陀館。狩野川沿いにある下河原店はキャラクターの家のモデルとしてラブライブ!サンシャイン!!のファンに有名ですが、こちらの香貫店も個人的には大いにオススメです。インテリアの雰囲気がよく、食事やケーキなどのメニューも豊富にあり、それでいて全部おいしくてハズレがないので最高です。
居酒屋は沼津駅南口、仲見世近辺の店によく行くのですが、駅からすぐで海鮮含めメニューが充実しているさえ丸おじさんの店、お通しでちょっとした刺し身盛り合わせが出てくる串焼き屋のだもんで、深夜24時以降でも雑に我々を迎え入れてくれる中華屋香香飯店など、普段遣いに困らないラインナップです。
Q. 逆に迂闊に沼津に住まない方がいいぞというネガティブポイントはある?
A. 就職事情が厳しいという1点に尽きる
リモートワーク勢で沼津に住みたいと思う人には正直それを止める理由はあんまりないです。ぜひ来てください! 飲もうぜ!
ただ、転職を伴う移住で沼津で仕事探しをするとなると、それなりに厳しい話を聞くというのが正直なところです。完全週休2日制で有給も無理なくとれ、それでいて生活に十分な賃金が得られる職が未経験でも見つかるかと言うと……うーん。
このあたりは自分が就職活動をしたわけではないので伝聞にはなってしまいますが、元々何かしらの資格や経験があって就職先の業界・会社に目星が付いているわけではないのだとすると、大都市の就職事情と比べたときに何かしらの妥協が必要になる可能性は高いのではないかと思います。
市や県の移住促進のサイトには当然ではありますがこの辺のリアルな事情が書いてあるわけではないですし、相談してもハローワークや就職マッチングサイトの利用を薦められるのみかと思うので、このあたりシビアに移住&就職を考える場合は慎重な下調べが必須かと思います。
Q. ラブライブ!サンシャイン!!ってコンテンツ自体がもう下火なのでは?
A. 俺も正直そう思っていたが、意外と……
沼津という土地を語るにあたって避けて通れないのがラブライブ!サンシャイン!!というコンテンツ。
自分が引っ越してきた時点(2021年9月)でもプロジェクト開始から丸6年を数えており、最後にテレビアニメが放映された2017年12月、劇場版が上映された2019年1月を最後に大きな盛り上がりを生むような企画は出ておらず、正直このまま静かにフェードアウトしていき、徐々に街中のラブライブ!サンシャイン!!の要素も消えていくんだろうな、と思っておりました。
ところが、全然そんなことはなかった。
「学生時空で3年生が卒業を迎えてしまって続けられないのなら、異世界でスピンオフやればいいじゃん――」マジでそんな感じの勢いで『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』がアニメ化されることとなり、ちょうど今年の2023年は新作テレビアニメの放映に湧く"幻ヨハイヤー"でした。
これが沼津の街にどういう影響を及ぼしていたかと言うと、まず2022年6月のテレビアニメ化発表時点で街中にこんな貼り紙が貼られていました。あげつちの商店街の方々の発案・実施だそうです。*5
「幻日のヨハネ」
— つじ写真館🌙 (@tujiphotostudio) 2022年6月27日
㊗️アニメ化おめでとうございます🙌✨✨
あげつち商店街!大喜びです😊#幻日のヨハネ #あげつち商店街 pic.twitter.com/6NxxIBuzdw
以前よりラブライブ!サンシャイン!!コラボのラッピングタクシーを運用していた伊豆箱根タクシーでは新たにメンバー9名+ライラプスのフルラッピングタクシー10台が運用開始され、沼津・三島界隈ではラッピングタクシーが以前のものと合わせて19台走り回るという異常事態に。
長年ラブライブ!サンシャイン!!の盛り上がりにはノータッチだったJR東海も、アニメ作品とのコラボを積極的に行う方針に舵を取り、キャストの斉藤朱夏さん・小林愛香さんによる1日駅長企画のほか、街中の施設を回るスタンプラリーや、駅ナカのラッピング装飾など様々な施策が行われました。しまいには南口正面のいちばん目立つ壁面にデカデカと高海千歌・桜内梨子のイラストとともに『私たちのふるさと、沼津。』の文言が掲載されることとなりました。さすがに目立ちすぎでファンもビビる。
2023年はちょうど市制100周年を迎えるアニバーサリーイヤーだったこともあり、特にコンテンツとは関係なく市による100周年記念の催しが多数行われていたのですが、その中のメインとも言える「市制100周年記念イベント」では、キャストの逢田梨香子さん・降幡愛さんを迎えてのトークショーなども行われており、沼津市側としても幻日のヨハネの盛り上がりについては両手を上げて歓迎してくれていた印象です。
11月23日(木)、お隣の三島市さんでの行事に参加する為に、JR東海さんから伊豆箱根鉄道さんに乗り換え❗
— よりしげ秀一 (@YorishigeNumazu) 2023年11月23日
自分が乗る電車の次の電車は、なんと『幻日のヨハネ』のラッピング電車❗
でも、行事に間に合う為には、前の電車に乗らなければならない『現実のヨリシゲ』❗ pic.twitter.com/kNM0237krU
沼津市長がノリノリすぎておもしろかったので文脈関係なく引用
そんなわけで、自分が引っ越してきた当時からすると想像もできないような、ラブライブ!サンシャイン!!✕沼津の盛り上がりを多数目撃した1年でもありました。
テレビアニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」のエンディングテーマ『キミノタメボクノタメ』の歌詞には、
100年たっても変わらずにいるよ
君のこと 君のこと
『大っ好き!!!』
というようなフレーズもあり、なんとなく沼津市制100周年に絡めたエモさも同居していたような気が勝手にしております。
直近だと、沼津リバーサイドホテルで行われた「あげつち商店街クリスマスパーティー2023」には沼津市長も登壇しており、その中で
「ラブライブ!サンシャイン!!」は(中略)沼津にとって欠くことのできない歴史の一部になっている
引用元: 後藤アナ潜入!「ラブライブ!」クリスマス交流会in静岡・沼津 | NHK
との言葉もあり、一旦テレビアニメ✕100周年イヤーというお祭りのような盛り上がりは落ち着いてきたものの、まだしばらくラブライブ!サンシャイン!!✕沼津の要素も楽しんでいけそうな気がしております。
もちろん、今後コンテンツがどうなっていくかは分からないものの、少なくとも2023年のこの盛り上がりを市民として近い場所で見られたことは素晴らしい体験でしたし、コンテンツ側がやる気でいてくれる限りは、個人的にもファンとして「ラブライブ!サンシャイン!!」や「幻日のヨハネ」を応援していきたい所存です。
おわりに
まとめると、沼津には地方都市ならではのリアルな事情もあるものの、自然の充実度や立地を考えるとやっぱり恵まれたエリアだし、都会の最先端のトレンドを追いかけたいわけでもなければ全然無理なく暮らしていける土地です、というようなことは一定の説得力を持って言えるんじゃないかと思います。
地方で少しゆったりと暮らしたいという向きには沼津以外にも向いた土地はいくつかあるかと思いますが、山・川・海をひと通り取り揃えながらも、それなりに東京方面へのアクセスが良い沼津はラブライブ!ファン以外にも大いに薦められる土地だと思っています。
そんなわけで、移住を考えている方はtondol宛に連絡をいただければオンラインでもオフラインでも都合がつく範囲で相談に乗りますし、より多くの意見がほしければ前述の「うみねこ」のDiscordに参加していただくのも大変オススメです(宣伝)。
沼津からは以上です。 気軽に書くつもりが結構長くなってしまいました。 お読みいただきありがとうございました!