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そろそろiTMSの有料配信について一言言っておくか

タイトルは釣りです。人によっては「なんで今さらそんなこと言ってんの?情弱乙」と思われるかもしれませんが,個人的にもっと色んな人に知ってもらいたいと思ったので記事にします。

iTunes Music Storeの音源配信フォーマット

私はiPod touchのユーザーなのですが,iPodユーザーにとって扱いやすいのはやはりiTunesです。iTunesを使う以上,ネットで音源を購入したいと考えた場合,自然とiTunes Music StoreiTMS)に目が行くことになります。

で,先日iTMSで購入したのがThirty Remixesです。下図に示すように,このアルバムはiTMSにおいて,AAC/256kbps(DRMなし)というフォーマットで配信されています。ちなみに,価格は1350円/10曲。

AAC/256kbpsというのは(個人的には)音楽をデジタルオーディオプレイヤーで聴く上で十分な音質だと考えています。逆に,256kbpsより低いビットレートだと,有料で購入するには躊躇いを覚えます。

そんでもって,今日同じくiTMSで購入したのが無形スピリットです。下図に示すように,このアルバムはiTMSにおいて,AAC/128kbps(DRMあり)というフォーマットで配信されています。ちなみに,価格は600円/4曲。

私は無形スピリットを購入する際に,前回と同じようにAAC/256kbpsというフォーマットで配信されているものだと思い込んでいました。しかし,実際は上で書いたように,AAC/128kbpsというフォーマットになっていたわけです。これに関しては,事前に音源配信のフォーマットをよく調べずに購入してしまった私が悪いと思うので,特に文句はありません。

ここで言いたいのは,AAC/128kbpsというフォーマットの音源(しかもDRMあり!)を有料で配信するのはどうなのか?ということです。MP3/128kbps程度の音質の音源であれば,いまどきYouTubeに違法アップロードされている動画からだって抽出して入手することだってできます。決して違法アップロードを擁護するわけではないですし,MP3かAACかという差異もありますが,無料で入手できるものよりも有料で購入したものの方が不便になっている,というのは少々納得がいきません。

実は,iTMSには2種類の音源配信フォーマットがあります。ひとつは128kbpsでDRMが施されている「非Plus」フォーマット(上記の無形スピリットはコレです)で,もうひとつは,256kbpsでDRMが施されていない「Plus」フォーマット(上記のThirty Remixesはコレです)です。音源を購入する段階で両者を見分けるには,アルバムの購入ボタンの横にプラスマークがあるかどうかをチェックすればよいです。音源が「Plus」フォーマットで提供されている場合,下図のようにプラスのマークが購入ボタンの横に表示されているはずです。

ちなみに,US版のiTMSでは,すべての音源が「Plus」フォーマットで提供されているようです*1。「じゃあUS版のiTMSを利用すればいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが,そううまくもいきません。「iTunesStoreの利用規約では日本からUSストアで商品を購入する事は禁止されてる」そうなので,(少なくとも規約に従っている限りは)US版のiTMSから音源を購入することはできないのです。

beatportの音源配信フォーマット

じゃあ,iTMS以外の有料音楽配信サービスではどうなのか?ということで,beatportを例に出したいと思います。beatportの場合,ユーザーはMP3/320kbps,AAC/192kbps,無圧縮WAVという3種類のフォーマットから好きなものを選択して音源を購入することができます(ただし,WAVは少々割高な価格設定になっている)*2。しかも,いずれのフォーマットについてもDRMは施されていません。お金さえ出せば,劣化のないWAVフォーマットで音源を入手できるという点が特徴的です。

iTunes Music Store並びに国内のレーベルにお願いしたいこと

iTMSのQ&Aを読むと「特定の音楽やミュージックビデオが高音質の DRM フリーで提供されない理由は、レーベルがそのフォーマットで提供していないためです。」とあります*3。つまり,レーベルが認めさえすれば,日本においてもUSと同様にすべての音源を「Plus」フォーマットで配信することも可能だということです。実際,日本のレーベルが提供する音源であっても,モノによっては「Plus」フォーマットで配信されています。

一方で,iTMSが提供するフォーマットが「低音質でDRMあり」(非Plus)と「高音質でDRMなし」(Plus)の2種類しかないことも,レーベルが高品質での音源を提供しづらい一因ではないかと思います。つまり,「低音質でDRMなし」や「高音質でDRMあり」という選択肢があってもいいのではないか,ということです。

正直なところ,多くのアルバムで「低音質でDRMあり」というフォーマットしか提供されていない現状は,日本のユーザーにiTMSで音源を売る気がないと思われても仕方ないのではないかと思います。インターネットを通じて,有料で音源を購入するという行為を根付かせるためにも,iTMSには配信フォーマットの選択肢をさらに増やしてもらいたいと思いますし,レーベルには高音質での音源配信を検討してもらいたいと思います。