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車輪の下

車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

ヘルマン・ヘッセの代表作。タイトルからして穏やかな学生ライフ的小説を予想してたんだけど、実際は全く違った。ネタバレになるけど、要するにハンスという少年が教育の車輪の下敷きになって、その一生を終えてしまう話なんだな。

ハンス少年に対して、周囲のオトナたちは身勝手な期待を押し付け、口では「才能の芽を伸ばすため」と言いながら、実際にはその才能の芽をむしり続ける。ハンスには寄り辺になる恋人や母親もなく、冷たい川でおぼれる孤独な最後を遂げる。その姿は序盤に出てきた、溺れ死んだ神学校の同級生とあまりに似ていた。成長期の子供に与えるべきは教科書でも先生でもない、紛れもない自然と愛情だったのだ。