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「ゆめにっき」に関する妄想

「ゆめにっき」っていうフリーゲームを紹介してみる。

その内容は、一言で言えば「狂気系」と形容されるような、極めて不条理で不可解なもの。「ゆめにっき」の世界にあるのは、人が元来持っている根源的な恐怖を呼び覚ますような、異常なグラフィックと音楽ばかりだ。でも、その不条理な世界には、何か人を惹き付ける魅力がある。登場するキャラクターはどれもこれもグロテスクな外見を持ったものばかりなのに、その内面に親しみすら感じるオレがいる。

窓付き(主人公の呼称)の持つ「エフェクト」(RPGでいうアイテム)は必ずしも狂気に満ちたものではなく、ただ単に癒しを与えるものであったり、笑いを誘ったりするものも多い。「ゆめにっき」の世界は確かに不気味ではあるけれども、必ずしも悪意を持ったものではない気がする。「ねこ」みたいにひたすら可愛いだけのエフェクトが存在しているのが、その何よりの証拠じゃないかな。

無理やり世界観を解釈してみる(ネタバレ

窓付きの些細な行動が可愛く感じられるようになればなるほど、あのエンディングに納得がいかなくなってくる。何故窓付きは自室のドアから出ることを嫌がり、終いには自ら永遠の夢の世界へ旅立つことを選んでしまったのか。夢の中の魑魅魍魎たちに勇気付けられて、家の外に出ることを決意する――そんなハッピーエンドがあっても良かったんじゃないか、と。

ニコニコのプレイ動画を見ているうちに、自分の中にこの物語に対するひとつの解釈が生まれた。それは、「ゆめにっき」の世界とは、外に出たがらない窓付きが自らの内面に作り出した、異世界に繋がる扉なんじゃないか、というもの。

窓付きが夢と言う窓を通じて異世界に接続したのは、外に出たいと言う願望を叶えるためであって、逆に言えば、「ゆめにっき」で夢の世界が存在する理由は、窓付きに外に出られるだけの活力を与えるためなんじゃないか。だとすれば、「ゆめにっき」のエンディングは、決して望まれた結末ではなかったはずだ。本来望まれていた結末は別にあったはずなんだ。

そんなことを考えるに至った理由は、単純に「ゆめにっき」のいくつかの場面に不思議な感傷を抱いてしまったから。

ひとつは、「階段」と呼ばれるマップで、おばけみたいなキャラクター(通称キュッキュ君)の前に窓付きが座る場面。もうひとつは、「デパート」と呼ばれるマップにある小部屋の奥で、窓付きが縦笛を吹く場面。どちらのシーンも、あんな不気味な世界の中にあって、形容しがたい感傷を呼び起こす。なんでだろう、どうみても異常な画面なのに、見ていて涙さえ出そうになる。

結び

「ゆめにっき」は、はっきり言って万人にお勧めできるゲームじゃない。怖いのが苦手な人とか、心臓が弱い人もまずプレイすべきじゃないだろう。でも、不条理系ゲームが好きな人とか、不思議な話が好きな人、あるいは、「ひぐらし」みたいにシナリオの意味を妄想するのが好きな人にとっては、これ以上魅力的なゲームはない気がする。もし興味があればとりあえず以下のプレイ動画をどぞー。